第6話 潜流
廃工場の屋上に立つ三人。
蒼色の光が微かに揺れ、水滴が空気を漂う。
リムの掌で光が震え、青と金が混ざった色で周囲の波紋を視覚化する。
『……みなと、近い……潜って……行けそう……』
「よし、行こう」
俺はリムを手にのせ、ユウキとレナと共に屋上の隅へ進む。
蒼雫の中心からは、微かな流れ――潜流が生まれている。
青い波紋が縦横無尽に広がり、人々の感情や記憶を巻き込む。
――前章の紅声の戦いとは異なる、静かで強力な脅威だ。
『……怖い……でも……守る……!』
リムの光が強く膨らみ、青と金が赤に触れそうな部分を押し返す。
ユウキは冷静に光の流れを読み、俺に指示を出す。
「右側の波紋が中心と連動している。タイミングを合わせろ」
三人の連携で、潜流の流れを封じることが可能になる。
リムの光が蒼色の波を押し返し、俺とユウキは波紋の隙間を通じて核へ接近する。
『……ぼくたち、できる……!』
水滴が光に反応して輝き、蒼色の波紋は微かに裂ける。
しかし、核の中心からは意志のような存在感が漂い、静かに抵抗している。
――潜流。
蒼色の脅威はただの現象ではなく、意思を持って街を侵食する。
三人は初めて、その意思と直接対峙し、戦闘の糸口を掴むことになる。
雨上がりの夜空に揺れる蒼色の光。
それは次の大きな戦いへの前触れであり、三人の絆をさらに試す瞬間でもあった。




