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第5話 滔波

街全体に、蒼色の波紋が広がり始めた。

水たまり、路地、屋根――あらゆる場所で青い光が微かに揺れ、人々の感情を乱す。


リムは掌で光を揺らし、青と金を交錯させて波紋を追う。

『……みなと、広がってる……止めなきゃ……!』

「わかってる。だから三人で防ぐんだ」


ユウキは冷静に分析を始め、光の波紋の動きを指示する。

レナも手帳に記録しつつ、波紋の制御に必要なパターンを指示する。


『……ぼく、やる……!』

リムの光が強く膨らみ、街角の蒼色の波紋を押し返す。

俺も拳を握り、屋根伝いに波紋の中心を狙う。


「よし、タイミングを合わせる!」

三人の光が重なり合い、蒼色の波紋が徐々に収束し始める。

波紋に巻き込まれた人々の表情が少しずつ戻り、街の空気が落ち着きを取り戻す。


しかし、蒼色の核――蒼雫の中心はまだ揺れ続けている。

微かに聞こえる滔々たる水の音の中で、異なる意志の気配が潜む。


――滔波。

街全体に広がる蒼色の波紋は、ただの自然現象ではなく、意思を持った脅威そのもの。

三人は初めて、防衛戦として街の人々を守りながら、現象の中心に迫ることになる。


『……みんな、一緒に……!』

リムの光が炸裂し、街の蒼色の波紋を押し返す。

三人の絆が初めて本格的に試され、同時に深まる瞬間だった。


街の灯りに映る蒼色の波紋――

それは、次なる戦いへの予兆でもあった。


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