第2話 波紋
雨はまだ降り続け、街のアスファルトを濡らしている。
蒼色の光が水たまりに揺れ、夜とは違う冷たくも神秘的な雰囲気を作り出す。
リムは掌で小さく揺れ、青と金の光が交互に反射する。
『……みなと……あの水滴……変だよ……』
「わかってる、リム。俺たちで調べるんだ」
ユウキは雨に濡れた髪をかき上げ、静かに頷く。
「最近、街のあちこちでこの蒼い水滴が現れて、人々の感情や記憶を混乱させているんです」
俺はリムを手に乗せ、視界を広げる。
『……ぼく、助けたい……!』
リムの光が強く揺れ、蒼色の波紋を追うように伸びる。
三人は街を巡りながら、蒼色の水滴の影響を受けた人々を確認する。
声が出なくなったり、記憶が曖昧になったりと、影響は軽微だが確実に広がっている。
――これが、前章の黒い影事件とは違う、新たな脅威の形だった。
「リム、ユウキ、タイミングを合わせろ」
俺は街角の水たまりに光を照らし、蒼色の波紋を視覚化する。
リムの光が青と金に変化し、波紋を押し返すように広がる。
ユウキはその隙間から情報を読み取り、俺に指示を飛ばす。
『……ぼくたち、連携……!』
初めて三人の力が完全に噛み合った瞬間、蒼色の波紋が微かに収まり、街に落ち着きが戻る。
「なるほど……これなら、人々を安全に守りながら、現象の原因を追える」
レナが手帳に書き込み、作戦を整理する。
――波紋。
蒼色の現象が街に広がる中で、三人の連携と力を確かめる初めての試練だった。
そして、この波紋が引き起こす大きな事件の序章に過ぎないことを、俺たちはまだ知らない。




