第11話 紅繭
夜が深まる街。
リムの光は微かに揺れ、青と金の色が柔らかく交錯する。
『……みなと、あいつ……正体……見えそう……』
「そうか……なら、慎重に行動するぞ」
俺はリムを掌にのせ、周囲の暗闇を見渡す。
レナも手帳を握り、分析の目を光らせる。
路地の奥、黒い影が微かに揺れ、赤黒い光を纏ったままじっと動かない。
その中心に、微細な光の繭が見える――紅繭。
どうやら影の力の源、あるいは核のようだ。
『……あの中に……人の感情……封じられてる……』
「なるほど……奴は感情を吸収し、紅繭に溜め込んでいるのか」
レナが手帳に書き込みながら頷く。
「これを破壊できれば、人々の声は完全に戻るはず」
リムの光が揺れ、赤と青が混ざり合う。
『……ぼく、やる……!』
俺はリムを抱き、手を握り締める。
「よし、三人で力を合わせるんだ!」
紅繭の光が微かに反応し、空間に緊張が走る。
黒い影は揺らぎ、赤黒の光が裂ける。
裂けた隙間から、封じられた感情の残滓が漏れ出す。
『……みんなの声、戻る……!』
リムの光が爆発的に広がり、紅繭に届く。
俺とレナも力を合わせ、三人の連携が完成する――
初めて、黒い影の力に直接対抗できる手段を手に入れた瞬間だ。
しかし、紅繭の奥にある本当の核心はまだ見えない。
――紅繭。
光と闇が絡み合う、黒い影の秘密の核。
三人の絆が試される次の戦いの序章でもある。




