第7話 響断
夜の街を包む紅紋の光。
リムの光が赤と青を交互に振動させ、感情の波を映し出す。
『……みなと、あいつ……狙ってる……』
「分かってる。だから先に手を打つんだ」
レナが手帳を握り、戦術を書き込みながら頷く。
路地の奥、声を失った人々が小さく震えている。
黒い影はその空間を支配し、感情を吸収して力に変えているようだ。
リムの光が怒りと恐怖を増幅させ、赤と青が交錯する。
『……ぼく……守る……!』
「よし、行くぞ!」
俺は拳を握り、リムを掌に乗せ、レナと共に影へ突進する。
黒い影は微かに揺れ、赤黒い光を撒き散らす。
その光に触れるたび、街の声が裂け、紅紋が波紋のように広がる。
――しかし、リムが光を爆発させ、影の動きを封じる。
「この光を使って、奴の感情パターンを解析するんだ!」
レナが叫び、手帳に走り書きする。
リムの光が反応し、影の強弱、動きの癖が次第に明らかになる。
黒い影の意図が少しずつ見えてきた。
――感情の流れを操作して、人々の声を封じ、恐怖と混乱を増幅させることが目的のようだ。
これに気づいた瞬間、三人は戦略を再構築する。
『……みなと、レナ……ぼくたち、できる……!』
「ああ、絶対に守る」
リムの光が最大に膨らみ、街を包む紅紋の波を逆流させる。
夜空に響く光の波紋――
三人の連携が、初めて黒い影の動きに影響を与えた瞬間だった。
――これが、俺たちの反撃の始まり。
そして、黒い影との最終決戦への序章でもあった。




