第6話 紅紋
夜の街は、薄暗い紅色の街灯に照らされ、静寂の中に微かにざわめきが混ざる。
リムは掌で揺れ、青と金の光が交錯する。
『……みなと……あいつ……強い……』
「わかってる。だからこそ、慎重に行動するんだ」
レナも赤い髪を揺らしながら頷く。
「被害者がまだいる……一刻も早く助けないと」
俺たちは黒い影が最後に現れた路地へ向かう。
そこには、声を失った少年が一人、うずくまっていた。
その表情は恐怖と孤独に彩られ、リムの光が強く反応する。
『……悲しい……怒ってる……でも、助けたい……』
リムをそっと少年に近づけると、青と金の光がゆらりと広がる。
少年の心の奥に残る悲しみが光となり、空間を温かく照らす。
「安心しろ、俺たちが守る」
俺の声に、少年は小さく頷いた。
その瞬間、黒い影が屋上から現れ、赤黒い光を撒き散らす。
リムの光が反応し、赤と青が混ざり合う――紅紋のように街を染める。
『……ぼくたち……負けない……!』
俺は拳を握り、レナと呼吸を合わせる。
「よし、この紅紋のパターンを覚えろ。奴は感情に触れるほど強くなる」
レナが手帳に書き込み、戦術を整理する。
紅紋――赤と青が混ざる光の波紋は、黒い影の感情の表れであり、
次の被害者を示す警告でもある。
俺たちはその波紋を追いながら、街の安全を守るために動く。
――暗旋の戦いで得た手応えをもとに、
三人は再び影に立ち向かう。
黒い影の正体は未だ謎に包まれているが、
少なくとも今、俺たちの絆は確かに光を放っていた。




