第2話 交声
事務所の窓から差し込む午後の光が、机の上の書類を淡く照らす。
リムは掌で小さく揺れ、青と金の光が交互に点滅する。
『……みなと、どうする?』
「まずは現場の確認だ」
俺はリムを手に乗せ、レナに目を向ける。
「レナ、君も来てくれるか?」
「ええ。私、一人じゃ何もできないから……」
赤い髪が光を反射し、瞳は真剣そのものだ。
三人で街を歩く。
リムは途中で立ち止まり、青色が強くなる。
『……あっち……』
俺たちは指示に従い、事件現場へ向かう。
そこは、小さな商店街の一角。
人々は普段通りに生活しているが、どこか声が薄く、笑い声も小さい。
――事件の影響が、確かに広がっているのだ。
リムを現場に近づけると、青と赤が混じった光が弾ける。
『……ここ、悲しい……怒ってる……でも、助けたい……!』
リムは体を震わせ、感情の流れを拾う。
「なるほど……被害者の感情が封じられている」
俺はリムの光を頼りに、現場を観察する。
レナは手帳を取り出し、記録を始める。
――三人の“声”が交わる瞬間。
事件の手がかりは、屋上で見た赤い影。
黒い影との関連性は不明だが、感情の残滓から何かを導き出せるかもしれない。
『……ぼくたち、できる……!』
リムが金色の光を強く放ち、希望を示す。
俺も拳を軽く握る。
「ああ、行こう。交声――みんなの力を合わせて、必ず解決する」
三人の絆が、事件の渦中で強く結ばれる瞬間だった。
――小さな声と光の交わりが、街に再び希望を取り戻す第一歩となる。




