第11話 煌笑
事件が一段落した翌日。
事務所には朝の光が差し込み、机の上に散らかった書類を照らしていた。
リムは小さな体を机の端で揺らしながら、青い光を輝かせている。
『……みなと、ねえ……』
「ん?」
リムは小さく笑うように光を揺らした。
『……ぼく、嬉しい……いっぱい守れた……』
その光が、まるで笑っているように煌めく。
俺は思わず微笑む。
「そうだな、リム。よく頑張った」
リムは嬉しさのあまり、体をくるくると回転させ、金色の光を散らす。
『……みなとと一緒だから、楽しい……!』
その姿は、ただのスライムではない――
小さな精霊のようで、まるで生き物の表情を持っている。
可愛らしさと愛らしさが混ざり合い、事務所の空気を柔らかく変えた。
俺はリムの光に手をかざし、揺れる光を感じながら心底思った。
――守る喜び、守られる喜び、そして共に歩む楽しさ。
小さな事件であっても、この経験は何物にも代えがたい宝物だ。
窓の外では、街が日常の音を取り戻し始める。
人々の笑い声、車の音、そして遠くで鳴く猫の声。
――世界は穏やかだが、俺たちの旅はまだ続く。
リムは小さく光を揺らし、笑顔を形にしたように輝く。
『……みなと、ありがとう……これからも……ずっと一緒……』
「ああ、ずっと一緒だ、リム」
――この“煌笑”の光が、俺たち二人の絆をさらに強く照らした夜だった。




