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第10話 帰光
少女のぬいぐるみを元の場所に戻し、
小さな約束を果たしたその夜――
事務所の小さなランプが、柔らかく揺れる光を放っていた。
リムは掌で小さく丸まり、青と金の光が交互に点滅する。
『……みなと……ぼく、守れた……』
「そうだな。守れたんだ、リム」
俺も微笑む。
小さな成功の瞬間だが、心は満たされていた。
少女の笑顔とぬいぐるみの安堵――
それらが事務所の空気に温かさを残す。
小さな光が、確かにここに帰ってきたのだ。
だが、背後にはまだ影がある。
屋上の黒い影は、じっと俺たちを見守り、
次の試練のために動き出そうとしていた。
リムの光が微かに赤みを帯び、緊張感を示す。
『……あいつ、まだいる……でも……ぼくたち……強い……』
「そうだ、俺たちは二人で守る。次も、必ず守る」
小さな決意が、夜に溶け込む。
雨の後の街が輝くように、俺たちもまた、一歩を踏み出したのだ。
そして、事務所の中に戻る光は、ただの明かりではない。
それは、守った者たちの希望、
そして次に来る困難に立ち向かう覚悟を示す“帰光”だった。




