フィクションです。
誰に何を言われようが
私はタカハシ。
口ではなく梯子のほうの髙がチャームポイントである。漢字が少し違う、それだけで書類作業や食事に行くとハプニングや様々な発見が日々を囲む。今日は今までの体験をいくつかご紹介しよう。
【書類】
「お名前の記載が誤っていないか、ご確認お願いします」
「すみません。たかはし、は鷹ではなく髙です」
「申し訳ありません、高橋様ですね」
カキカキ( . .)φ
「…梯子のほうです」
【病院】
「はしごだかさま~」
「たかはしです」
「えぇ、存じ上げております」
「髙橋と名字で呼んでください」
タカハシが患者に沢山いるから、呼ぶときに間違うと大変だそうだ。田中や佐藤の場合はどうするのだろうか。
【パーティー】
「髙橋さま、って珍しいですよね」
「そうなんですか?」
「私、口の方にはよくお会いしますけど、梯子は久しぶりです♪」
「あ、でも私の周りで髙橋って名字の方にお会いしたことないです」
「そんなことありますか笑」
「はい笑」
苗字は奥が深い、調べると楽しいが終わりが見えないから程々にな。私は子供のころの夏休みの半分をそれに溶かして母にたくさん怒られたからな。
【知人】
「いいね、橋」
「え?」
「口か梯子か、よりもタカハシを一番困らせるのはハシのほうだよ」
「あ、それ聞いたことある」
「なんで10種類も変形するんだろうね」
「ね…普通の橋で良かった」
「でもタカも変に種類あるよね」
「田中の中に中田がいるようなもんでしょ…」
「同じ漢字ばかりだと見分けつかないもんね」
「ねー」
同じような境遇をもつ人はいいものだ。愚痴が面白い。「そんなことも!?笑」と、色んな状況があるようで聞いているだけでも楽しかったりする。
【食事処】
「たかはしさま~」
「はい」「はい」「はい」
「「「え?」」」
「2名でお待ちのタカハシさま」
「あ、私です」
苗字に罪はない。
なんかよく間違えられるけど、慣れたら穏便に行ける。
流石に何回も同じ場所でやられたら怒りが見えてしまうけれど。