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八斬


 突然の襲撃、その襲撃の実行者と思われるボウガンを装備した男・矢如月を敵として倒そうと判断した真助が走る中、矢如月は矢を装填したボウガンを構え狙いを定めると矢を射ち出す。

 

 射ち出された矢はボウガンから飛ばされると加速しながら真助へと迫っていき、矢が飛んでくると真助はそれを躱して矢如月との距離を詰めようと走り続ける。

 

「当たるかよ」

「ではこれは?」

 

 矢を躱した真助が余裕を見せていると矢如月は矢を装填し直すと素早く射ち、さらに矢をボウガンに素早く装填すると10本の矢を連続で射ち飛ばしていく。

 

 次々素早く射ち飛ばされる矢を前にしても真助は驚くような反応もなく矢の軌道を的確に予測しながら躱し、全ての矢を躱した真助は地を強く蹴ってさらに加速して矢如月に一気に迫ろうとする……が、矢如月は真助が地を蹴って加速する瞬間に同じように地を強く蹴って後ろに大きく飛んで真助の接近を数秒ほどずらすように距離を取る動きを起こした。

 

「コイツ……!!」

(オレが距離を詰める瞬間に合わせて飛んで距離を保ちやがった!!

攻撃後の移動、距離の確保、そんで射撃後の高速装填……こんな野郎がまだ世界にいたのか!?)

 

「この程度、当然では?」

 

 真助が矢如月の行動と判断力に内心驚かされていると矢如月は地を強く蹴るなり高速で駆け出し、駆け出した矢如月は真助の周囲を駆けながら次々矢を放って彼を射ち殺そうと攻め始める。

 

「やり方を変えてきたか」

  

 矢如月の速度に反応出来た真助は矢の接近を感覚で読み取ると無駄のない動きで躱していく。が、矢を躱す真助は矢如月の駆けるその速度に疑問を感じていた。

 

「妙、だな……」

(コイツのこの動き……さっきの矢の雨を放った野郎とは思えないほど遅いな。その辺の人間と比べりゃまぁ速い程度だが、あの矢の雨を成立させるだけの大量の矢を一気に放てるだけの技量じゃない。超高速による視認不可の移動からの乱射を想像してたが……違うな。コイツは何かしらの方法で抑え込んでるみたいだが、さっきからチラつく気配……コイツが《斬鬼会》の人間なら『アレ』を持ててもおかしくないよな)

 

 矢を躱した真助は突然足を止め、真助が足を止めると矢如月も足を止めてボウガンを構え立つ。矢如月はいつでも真助を攻撃できる、そんな状態の中で真助は指の関接を鳴らしながら敵に問う。

 

「オマエ、隠してんだろ?隠してんなら出せよ……妖刀を」

「ほぅ、何故そう思う?」

 

「姿を見せてからのオマエの行動……見せる前の矢の雨を放った野郎とは同じ人間と思えねぇんだよ。オマエのスピードも目で追える程度、一度に放てる矢の数も矢の雨には程遠い。で、さっきからオマエの方からちらほら感じてる妙な気配、それが関係あるのなら……《斬鬼会》の人間のオマエなら持っててもおかしくない、むしろそれを使ったから矢の雨を放てるだけの技量を発揮出来たとしたら辻褄があうんだよ」

 

「なるほど……そうか、キミが感知出来る可能性は聞かされていたから悟られぬように隠していたが……仕方ないかな」

 

 真助の言葉を受けた矢如月は彼の言葉に驚いた反応を示しながら拍手をし、拍手をした矢如月は札のようなものが無数に貼られた鞘に納められた短剣を取り出す。取り出した短剣を矢如月は鞘から抜き、短剣が鞘から抜かれ妖しく光る緑色の刀身を覗かせると矢如月を中心に周囲に異様な気が放たれ始める。

 

「野郎……やっぱり隠してたか」

(にしても、見るからに怪しい札を貼られた鞘が妖刀の力を抑える役目を果たしていたとしても抑えられる中で漏れた力だけで超高速を発揮するだけの力を得られるとは……どんな力を秘めた妖刀なんだよ)

 

「鬼月真助、キミは彼に匹敵する感知力を秘めているようだ。しかし……それ故にキミは危険すぎる。封印を施し力を弱化させていたこの妖刀《飛幽》の存在に気がつくのは見過ごせないな」

「短『剣』なのに妖『刀』か。名前ってのは言ったもん勝ちみたいなもんなのか?」

 

「妖刀には色んな形があるのだよ。現に封印されている物以外は損壊がひどいということで欠片を結合して新たな形に組み直したりしていることがほとんどなのだから」

 

「結合……」

(オレが霊刀《號嵐》に《血海》の欠片を同化させて《狂血》にしてたのとは違うのか?)

 

「ですがこの《飛幽》は違う。

封印されていた刀の姿の《飛幽》をあえて一度バラバラに分解し、《斬鬼会》が回収した妖刀の欠片を最適だとされる組み合わせで結合させる形で使い手に馴染む形に打ち直された妖刀……つまりは新世代の妖刀なのだよ」

 

「妖刀を一度破壊したってのか……!?」

「そういうことだ。この《飛幽》もオレに馴染むように打ち直された妖刀、それ故に強すぎる力を抑え込んでいてもその力を引き出せる。まぁ……押さえ込んでいた力を解き放てばその力は際限など無くなるのだがな」

 

 《飛幽》を左手に構えた矢如月が真助を睨むと彼の全身から強い殺気が解き放たれ、解き放たれた殺気を肌で感じる真助は……なぜか嬉しそうに笑っていた。

 

「何がおかしい……?」

「……嬉しいな、まったく。村正探しの旅もファウストのパシリで終わるかと思ってたのにこんなところで面白いものに出会えたんだ。手持ちの武器が足りてないんでね……それ、寄越せ」

 

 何故笑うのか矢如月の問いに対して答えるでもなく真助は一方的に《飛幽》を寄越せと告げると黒い雷を全身に纏い、そして真助が黒い雷を纏うと矢如月の発する殺気を消し飛ばすほどの強い殺気が真助の中から解き放たれる。

 

「こ、これは……!?」

「さぁ……オレを楽しませた上で、消えろ!!」

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