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七斬


 場所を戻して……

 

 ファウストから今後の指示を受けた真助は雲禰村を出発して敵が潜伏している可能性がある彼岸村に向かうべく歩いていた。

 

「……にしても、遠いな。

2時間くらい歩いてもまだ着かねぇのかよ」

 

 ファウストから与えられた地図を見ながら歩く真助。地図では二次元的な書き方をされたもの故に雲禰村と彼岸村との距離は近いようにも思えたが、実際に歩いて向かうとなれば話は変わる。

 

 都市部から大きく離れている過疎化が激しい地域とされる現在地は地図にはないような険しい道ばかりで、思い通りにいかない道中が長々と続いているような状態だった。

 

 別段体力がないわけではない真助もこうも歩いてばかりでは気分的に萎えてくるものがある。

 

「ファウストの野郎、まさかだがまともな地図渡さなかったな……。こんな険しい道のりだってんなら馬なり借りれるように頼むべきだったな……」

 

 地図を見ながら歩き、歩きながら愚痴をこぼす真助は今自分が見ている地図を渡してきたファウストへの不満をいくつか言葉にして吐き、文句を言いながらもしばらく歩いた真助はちょうど休むために腰を下ろすには使えそうな場所を見つけ、一旦休むことを決めた真助はそこへ向かうと腰を下ろし息を吐いた。

 

 

 

「はぁ〜……ったく、長々と歩かされて疲れるぜ。地図の正確さなんてもはや無いに等しい、道なりに進む中で迷わないように注意するしかないってのは精神的にキツイものがある」

 

 歩いてきた道と地形と異なることが書かれている地図を役に立たないとして真助は雑に折り曲げ、折り曲げた地図を真助は自らの気晴らしに投げようとした……が、投げようと手を動かそうとした直後、真助はそれを止めるとあることを不思議に思い始める。

 

「……よく考えたら変だな。正確さなんて無いに等しい地図を見ながら地図には無い険しい道を歩き続けてて迷ってる気配がない。よく分かんねぇけど何かに惹き付けられてるのか導かれてるのか……オレの中に何かあってそれが機能してるって話ならこの出鱈目な地図を渡したファウストの計算通りって事なのか?」

(そもそもこんな辺境の田舎の調査にオレが同行してるのもおかしな話だ。オレには妖刀探しって目的があるにしても《一条》という地位のある名家の遣いと一緒に行動するなんてのも不思議な話だよな)

 

「まさかだが……オレが妖刀探しのついでに調査に来た村ってだけじゃない他の何かかを隠してるとかじゃないよな……?」

 

 何かある、妖刀探しと平行して進められることとなった雲禰村と彼岸村の調査に疑問を抱き始める真助。自分が思っている以上に何かよからぬものが隠れていると真助が危惧していると突然どこからか勢いよく矢が1本彼の顔に向かって飛んでくる。

 

 真助は矢が飛んできても焦ることなく落ち着いた様子で矢を見ながら右手で掴み止め、掴み止めた矢を握り潰すと投げ捨てて休むべく座っていた体を立ち上がらせて矢が飛んできた方に視線を向ける。

 

 真助の視界で捉えられる範囲には矢を放ったと思われる敵の姿は見当たらないが、真助はどこかに敵が潜んでいるとして警戒心を高めると共に敵の気配とこちらに向けられているはずの敵意を探ろうとした。

 

 すると2本の矢が新たに同じ方向から真助の方に向けて飛んできて彼を射抜こうと迫り、2本の矢が迫ろうと真助は当然のように冷静さを欠くことなく躱し、矢を躱した真助はすかさず躱した2本のうちの片方に手を伸ばして矢を握り掴み、逆手にそれを持つと矢が飛んできた方へ返すように勢いよく投擲してみせた。

 

 真助の手により投擲された矢は自らの飛んできた方へと帰るように勢いよく飛んでいくが、投擲された矢は別段何かに当たるでもなく勢いを保ちながら飛ばされた先にある木に突き刺さって終わりを迎えてしまう。

 

「移動しやがったな……」

(位置の特定をさせない為に取る選択としては最適解だな。攻撃後にすぐに移動する、遠距離攻撃を得手とする人間の弱点になりうる位置の特定からの反撃を回避するという点でよく考えているとは思うが……)

 

「どうせすぐに居場所は分かるんだよ」

 

 投げ返した矢が木に刺さり終わるも結果自体を想定していたらしく真助は別に慌てたりすることも無く落ち着きすぎと言えるほどの反応をしながら体勢を低く構え、真助が構えると真助の後方離れた場所から彼の頭蓋を穿とうとまた矢が飛んでくる。

 

 背後から飛んでくる矢に気づいた真助は当たり前のように反応して躱し、躱した矢が飛んできた方に視線を向けようとする……が、真助が視線を向けようとすると四方八方から無数の矢が波状攻撃を仕掛けるかのように彼に襲いかかろうと飛んでくる。

 

「そう来た……か!!」

 

 四方八方から飛んでくる矢から敵の動きを察した真助は目を鋭くさせ光らせると何やら目に見えぬ力を発し、発せられた力は迫り来る全ての矢の勢いを殺し地に落としていく。

 

 何かをして自らを守った真助が軽く息を吐くとどこから軽い拍手の音が聞こえ、拍手の聞こえた方を真助の見るとそこにはボウガンを右手に持った迷彩服の20代後半と思われる男が立っていた。

 

「見事だ。雲禰村から帰還するはずの部下が戻らぬから来てみれば驚き……まさか彼と同質の存在が来るとは」

「んだ?どんなのかと思えば期待はずれなのが来たな……オマエ、敵ってことでいいよな?」

 

「早々に結論を出そうとする……いやはや、彼の言うとおりの短気さだな鬼月真助。まぁ、キミがどう動くかでその辺は大きく変わるとだけ伝えようか」

「そうかよ。なら……倒されろ!!」

 

 男の素性、敵味方の区別などをはっきりさせるのが面倒なのか真助は首を鳴らすなり走り出し、真助が走り出すと男はボウガンに矢を装填すると構え彼に狙いを定める。

 

 そして……

 

「《斬鬼会》、東門……矢如月、任務を開始する」

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