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六十八斬


 刀哉と美琴が手を施したことで形としては完成した異物に真助は手を伸ばそうとした。が、それを敵である弥勒が許すはずがなかった。

 

「オマエの思惑通りになんて……させない!!」

 

 弥勒は禍々しい気を全身に纏うと手にした妖刀で巨大な斬撃を飛ばすことで真助の行動を妨害しようとするが刀哉は刀を出現させると装甲を纏ったクライスとともに真助の前に立って斬撃を防ぎ止め、防ぎ止めた斬撃に対して刀哉とクライスは力を高めることで打ち返し、打ち返された斬撃は飛ばした張本人を斬ろうと迫っていく。

 

 が、弥勒は妖刀を素早く振ることで斬撃を相殺する程の力を持つ一閃を放つことで防いでしまい、弥勒が妖刀を構えると刀哉とクライスは構えて敵を迎え撃とうと動き出そうとした。

 

「オマエさんが来てくれたのは助かったぞクライス。オマエさんが来てくれなければ鬼月真助は倒れていたかもしれん」

「礼なら言葉よりも形で頼むぜ刀哉。こちとら遠路はるばる姫神ヒロムに貸し作るついでに来てやったんだからな」

 

「相変わらずの守銭奴、物に目がないところは変わらぬか。ならオマエさんの手土産として敵の首でも持ち帰れ」

「手柄くれんのか?それは嬉しいね!!」

「そのためにも倒さねばならんがな!!」


 刀哉とクライスは全身に力を強く纏うと駆け出し、駆け出した刀哉とクライスは弥勒を倒すべく攻撃を仕掛け、弥勒も負けじと迎撃しようと動く様を見ながら真助は美琴が運んできた自身の新たな妖刀となる異物に手を伸ばし、真助が異物を握ると彼の体の中に得体の知れぬ何かが駆け巡ろうとするかのように入り込んでいく。

 

「こ、これは……!?」

(まさか、妖刀が秘めてる闇だってのか!?《斬鬼会》が新型を生み出して罰を受けたようにオレも新たに生み出したことによる罰を受けるのか……!?)

 

「鬼月真助!!貴方の覚悟を示すのよ!!その妖刀は新たな姿になろうとしている段階でまだ貴方のことを知らない!!だから今の貴方の覚悟を示すことで貴方という存在を知らせるのよ!!」

「覚悟……だったら!!」

 

 妖刀から入り込んでくる何かに真助が戸惑っていると美琴が彼に駆け寄りながら強く言い、美琴の言葉を受けた真助は示すべき『覚悟』について気づくと掴んだ異物を強く握り、そして真助はその覚悟を示すかのように力の増幅の影響で満身創痍に等しい全身に黒い雷を纏わせる。

 

 そして……

 

「オマエが望むならオレの全てを捧げてやるよ。オレはオマエを求め、オマエは自分を使えるだけの人間を求めてるんなら……オレの中の全てを捧げてやるからオマエの全てをオレに寄越せ!!」

 

 真助は自身の覚悟を示すかのように黒い雷をさらに強くさせながら叫び、真助が叫ぶと彼の強く掴んだ異物は彼に纏われる黒い雷を取り込むかのように宿し始めると亀裂を生じさせ、異物全体に亀裂が生じるとそれは炸裂するように砕け散る。が、異物の全てが砕け散った訳では無かった。刀の形をした異物の外観にあった錆や汚れに見えたものがまるで脱皮するかのように砕け散っただけであり、異物だったそれは赤黒い刀身の刀の姿を晒すようにして真助の手に装備される。

 

 それだけでなく真助が力の増幅を行ったことで拡がっていた黒い痣は右頬にある時の状態にまで戻り、さらに腕に拡がっていた黒い痣は右頬に戻ろうとせずに刀の中へと取り込まれるように消えていき、驚くことに真助の全身は刀を手にした途端に戦いなど無かったかのように小さな傷に至るまで全てが消えて万全の状態へと回復していた。

 

 黒刀となっていた空牙は黒狼の姿に変わると真助のそばに立ち、真助は手にした刀を目にすると空牙に伝えていく。

 

「空牙、悪いが試し斬りがしたい。しばらくはオレに任せてくれ」

「マスターの思うがままに戦え。オレは戦いを見守ってるさ」

 

 真助の言葉を受けた空牙は弥勒との戦いから引くように後ろに下がり、真助は新たな刀を構えると美琴へと感謝を伝える。

 

「ありがとうな武上美琴。ここまで届けてくれて」

「礼には及ばないわ。私はあの男と戦えるほどの力量はない、今出来ることが貴方に届け渡すことだと理解したからそうしただけのことよ」

 

「……オマエのそういうところに助けられたよ。だから、オマエの家族を巻き込んだ忌まわしい闇はオレが斬ってくるから任せとけ……美琴!!」

「……任せるわ。父と祖父の……仇を取って、真助!!」

 

 真助の言葉を受けた美琴は瞳から涙を零し、真助は刀を強く握ると地を蹴って駆け出す。

 

 弥勒の相手をしていた刀哉とクライスは真助が動き出したのを感じ取ると弥勒の放とうとした攻撃を避けると同時に左右に飛び、そして2人が弥勒の前を空けるように飛ぶと真助が勢いよく弥勒に迫って一閃を放つ。

 

 真助の放った一閃に対して弥勒は《神災》で防ぎ止め、一閃を防いだ弥勒が闇を強く纏うと真助は彼の前に立って黒い雷を纏いながら新たな妖刀を構えていく。

 

「待たせたな弥勒。これがオレの新たな妖刀……オレと共にオマエを斬る力となる妖刀《狂鬼》だ」

「そうか……それが新たな妖刀か……!!」

 

「望み通り、こいつとオレで相手してやるよ!!」

 

 

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