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六十六斬


 弥勒を倒すべく再起した真助と彼を救うかのように現れヒロムの用意した医薬を渡し味方として手を貸そうとするクライスが動き出すと禍々しい気を纏う弥勒は2人に向けて無数の闇を撃ち放ち、放たれた闇が力を増しながら迫るとクライスは前に出るなり両腕の装甲を可変させて大盾に変えながら敵の攻撃を全て防ぎ、クライスが弥勒の攻撃を全て防ぐと真助は黒い雷を纏いながら加速するように駆け出すと弥勒へと接近して黒い霊刀《空牙》を振って敵を斬ろうとした。

 

 が、真助が斬ろうとすると弥勒は闇を手に纏わせて防ぎ止め、攻撃を防がれた真助は押し切ろうと黒い雷を強くさせると己の力を高めようとし、それに呼応するかのように彼の体の黒い痣はさらに広がっていく。

 

「はぁぁぁあっ!!」

「オマエ……まだ力を上げるつもりなのか!?」

「どうした、他人の心配か?生憎、こっちはオマエを斬るためならまだまだやるつもりだから覚悟しとけ!!」

 

「この……!!」

 

 真助の力がまだ高まる、それを思い知らされた弥勒は闇となって彼の前から消えると真助の後方離れた位置に現れて禍々しい気を変換させた光線を撃ち放って彼を仕留めようとしたが、真助が光線に気づくよりも先にクライスが彼の背を守るように立つと大盾を構えて光線を防ぎ止めてみせた。

 

 クライスが光線を防ぎ止めると真助はクライスを飛び越えるかのような勢いで高く飛びながら黒い雷を黒刀に纏わせると巨大な黒い斬撃を弥勒に向けて飛ばし、飛ばされた黒い斬撃は真助の能力である黒い雷を帯びながら弥勒へ迫ると彼に直撃しようとした。だが弥勒は真助の黒い斬撃が迫り来ると闇を強く放出して防御壁を形成させるとそれを防ぎ、弥勒は両手で素早く印を結ぶと周囲に無数の焔を生み出して真助とクライスに向けて飛ばしていく。

 

「やり方変えても無駄だぜ!!」

 

 無数の焔が迫る中でクライスが強気に叫ぶと彼の全身の装甲が一斉に可変し、可変したクライスの鎧は先程までとは一転して重々しい造形のものへと変化し、そして重々しい造形の装甲を纏ったクライスが構えると肩部装甲が開かれると共に小型の爆撃弾が無数に射出されて弥勒の飛ばした焔へと飛んでいった後に爆発して相殺させていく。

 

「くっ……!!」

「オレの能力である《鎧装》はオレの再現可能な範囲でならどんな装甲でも自由に纏える。そして纏っている装甲を別のものに変えるのだって簡単なこと、その時間は僅か1秒!!オマエみたいな下手な下準備も不要なんだよ!!」

 

 弥勒の焔について『下手な下準備』と酷評したクライスは弥勒本体に向けて爆撃弾を撃ち放って爆撃を見舞おうと攻撃を仕掛けるが、弥勒は闇を纏うと禍々しい気を強く放出しながら高く飛んでそれを回避して直撃を逃れて反撃しようとする……が、弥勒が高く飛んだと同時に真助は黒い雷を脚に纏わせると弥勒が回避したクライスの爆撃弾の爆撃に巻き込まれない高さまで跳んだ上で爆撃によって生じる爆風をさも足場に見立てるかのように強く蹴って更に高く跳ぶと弥勒へと接近して黒刀による鋭い突きを放って弥勒を仕留めようとする。

 

「何……

「戦いの中で強くなる……それがオレだ!!」

 

 真助の接近と突きを凌ごうと弥勒が禍々しい気を強く纏って防御しようとする中で真助は加速してそれよりも先に一撃を命中させ、真助の黒刀は禍々しい気の防御を受け付けぬかのように弥勒の腹を貫く。

 

 そして弥勒の腹を貫いた黒刀に黒い雷を纏わせると真助は敵の体内へ巡らせるように魔力と能力を断つ力を持つ《狂》の黒い雷を流し込ませていく。

 

 黒い雷は真助の思惑通りに弥勒の体内へと流れ込み、そして黒い雷が体内へと流し込まれた弥勒は全身に衝撃を受けると吐血して苦しそうな顔を見せた。

 

「がっ……は……」

「ここまでだ弥勒。もうこれ以上はやるだけ無駄だ。今オマエの中にオレの能力を流し込んだ……つまり、オマエの中の魔力は乱れて妖刀はおろか与えられた力もしばらく使えなくなる。大人しくこのまま終わりに……」

 

「……真助、ありがとう……」

「?」

 

「オマエのおかげで……私は完成する!!」

 

 弥勒が言葉を発すると彼の全身から黒く禍々しい闇が溢れ出して真助を吹き飛ばし、弥勒の体は闇に飲まれると禍々しい鎧を纏った戦士のような姿に変貌し、そして彼は鞘に納められていた妖刀《神災》を抜刀した。

 

「アイツ……何で……!?」

「おい鬼月真助!!仕留められなかったのか!?」

 

「仕留めるつもりでやった!!そのためにオレの能力の応用でやれることを叩き込んだ!!だからアイツは……」

 

「感謝しておくよ真助。この妖刀はかつての時のように力を発揮出来ない状態だった。それを解き放つためには『人の命の終わる瞬間』という経験が必要だった。そして今……私はオマエの力で命が終わる瞬間を迎えようとし、その瞬間を妖刀は私を介して経験した!!」

「まさか……オレがオマエの妖刀を完成させたってのか!?」

 

「あぁ、その通りだ真助!!オマエが私の力を完成させてくれた!!」

 

 刮目しろ、と弥勒が妖刀を振り上げるとその刀身は妖しく光ると共に真助とクライスに向かって禍々しい闇が解き放たれ、解き放たれた闇は2人を飲み込もうとする。

 

「しまっ……

「こんな形で終わらせる気はなかったがせめてものお礼だ。さぁ、その身で《神災》の力を味わえ!!」

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