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六十二斬


 妖刀《神災 》を得たとされる《斬鬼会》の主様ことかつての真助の友であり1つの妖刀による因縁で真助の手により殺害されたと思われた妖風弥勒の発した禍々しい気が放つ力に吹き飛ばされた真助は黒狼の精霊・空牙と共に立ち上がると黒い雷を纏って構え 、真助が構えると弥勒は禍々しい気を纏い余裕があるかのように振る舞いながら彼に話していく。

 

「やめておきたまえ真助。今の私の力はそんな矮小な能力ではどうにもならないものだ。いくらキミがその力を極限まで高めて強くなろうと限界がある上に 限界まで高めればキミの体は負荷に耐えられず自傷して終わることになる」

「はいそうですか、でやめるほどオレは優しかねぇしオマエの前出背を向けるような無様を晒すつもりは無い」

「賢明な判断をした方がいいよ真助。今の私は……キミより優れている」

 

「ほざけ!!」

 

 弥勒の言葉に強く返した真助はその身に纏う黒い雷を強くさせながら駆け出し、駆け出した真助が迫ろうとすると弥勒は禍々しい気を纏いながら一歩踏み出すなり音もなく真助へと接近して彼の腹に掌底を叩き込み、その一撃を受けた真助が怯むと弥勒は彼の胸ぐらを掴んで体を無理矢理起こさせると何度も殴っていく。

 

「っ…… !?」

「今のキミと私とでは基本的な身体能力で雲泥の差がある。過去の私しか知らぬキミと過去と今のキミを知る私の知識においてもそうだが、今のキミでは私に勝つことなど不可能なのだよ」

 

「……言って、ろ!!」

 

 弥勒に何度も殴られた真助はそれによる痛みを意に介さぬかのように胸ぐらを掴む敵を振りほどくと同時に黒い雷を周囲に放射して弥勒を牽制し、黒い雷が放射されると弥勒は想定していたかのように禍々しい気を強く纏いながら右手で簡単に防ぎ止める。

 

「……稚拙なやり方だ」

「ならこれはどうだ……!!」

 

 真助の放射した黒い雷を簡単に防ぎ止めた弥勒がガッカリしたような口振りで呟く中で真助は敵を倒そうと自身の右頬の黒い痣を体に広げながら自身の纏う黒い雷を強く轟かさせ、黒い痣が広がったと同時に真助は高速での連続攻撃を放って弥勒を追い詰めようとする……が、弥勒はその連続攻撃をまるで全て見えてるかのように容易く躱してしまう。

 

「なっ……!!」

「その戦い方は何度も見たよ。能力者にとっては毒でしかない黒い雷を限界まで高めて自身の技量を補うやり方、魔力を有するキミにとってもそれは毒でありその痣はある種の肉体の抵抗を表している。だというのにそれを無視して発動しているせいでキミは常に戦いの中でその毒が体内でいつ暴発するかを気にしながら戦うことを強いられる……私を相手に使う力では無かったんじゃないかな?」

 

「うるせぇ!!」

 

 真助の力の増幅について彼の攻撃を躱しながら分析と解説を行う弥勒の指摘の一言に対して真助は彼を黙らせようと力を右手に集めて渾身の一撃を放とうとする……が、真助が攻撃を放とうとすると弥勒は音も立てずに真助の背後へと瞬間移動し、真助の攻撃が不発に終わると弥勒は禍々しい気を纏わせた蹴りを真助に食らわせて彼を蹴り飛ばしてしまう。

 

 禍々しい気を纏いし蹴りを受けた真助は負傷して勢いよく倒れてしまうもすぐに立ち上がると黒い雷をさらに強くさせることで自身の力をさらに高めながら弥勒に迫って再度攻撃を仕掛けようとした。

 

「諦めが悪いね、真助」

「うるせぇぞ弥勒!!」

 

「うるさい、か……なら静かにさせてあげよう」

 

 真助が迫り攻撃を放とうとする弥勒は禍々しい気を両手に集めると両手を真助に向けてかざし、弥勒の両手が真助にかざされると禍々しい気が光線となって解き放たれて真助に直撃していく。

 

「がぁっ!!」

 

 光線の直撃を受けた真助は吹き飛ばされて倒れてしまい、倒れた真助はフラつきながらも立ち上がり、まだ立ち上がる真助を目にした弥勒は呆れていた。

 

「やれやれ、この程度の攻撃を直撃で受けるなんてどうかしてるよ真助。キミは本当に……弱くなった」

 

「うるせぇぞ……弥勒。そんなに自信があるんならさっさと仕留めてみろや」

「威勢だけは立派なようだね。そんなものがどれだけあろうと……

「口だけなのはオマエも同じだろ弥勒。オレより強いなんて言いながら肝心なところで加減してわざとオレを立ち上がらせようとしてる……オレより強いんならさっさと倒してみろよ?ご自慢の命を滅ぼす妖刀でオレを殺してみろよ」

「妖刀を持ってないキミを殺しても面白くない。どうせ殺すならキミの妖刀と一緒にあの世に送らなきゃ私の気が腫れない」

 

「……あんま他人の妖刀に執着してると痛い目見るぞ」

 

 弥勒の言葉、真助を妖刀諸共斬り伏したいと語る弥勒に警告するかのような言葉を口にした真助はその言葉の直後に指を鳴らし、真助が指を鳴らすと弥勒の頭上高くに一切の気配も無く空牙が現れて黒い雷を纏いながら咆哮を発すると黒い衝撃波を弥勒へと放ち、放たれた黒い衝撃波が迫る中で弥勒は禍々しい気を発することで衝撃波を打ち消し、弥勒は空に視線を向けると真助に向けて先程放った光線を放とうと力を高めていく。

 

「目障りな精霊は……

「バカが」

 

 空牙を倒すべく弥勒が一撃を放とうとしたその時、真助は黒い雷を纏いながら弥勒の懐へと潜り込むように詰め寄ると蹴りを放つ……が、真助の蹴りは弥勒の纏う禍々しい気に防がれてしまう。

 

「この程度では……」

「……空牙!!抜刀!!」

 

 弥勒が蹴りを防ぐとすかさず真助は叫び、真助が叫ぶと空牙は黒い雷を纏いながら弥勒に向けて天を駆けながら黒刀に変化し、黒刀に変化した空牙はその勢いのまま弥勒を穿とうと襲いかかる。

 

「!!」

「喰らえや……獣の牙を!!」

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