表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/71

六斬


 真助の妖刀探し、ファウストの《斬鬼会》の調査の同行に関してのおおまかな説明を受けるヒロム。話を聞くヒロムは用意された椅子に座り、《一条》の家の使用人が用意したコーヒーにはまだ口をつけずにいた。

 

「以上が鬼月真助についての報告だ。コーヒーでも飲んで寛げ。毒など入っていないから安心しろ」

「んなことは気にしてねぇ。わざわざオマエがこうして時間を作る理由が気になってるだけだ」

 

「貴様が鬼月真助のことを聞きに来たのだろ?だからだ」

「何か理由があるんだろ。だからこうしてコーヒーまで用意させてオレを居座らせてる……違うか?」

 

「……そんなつもりは無かったが、貴様は少し相手の善意を受け入れる寛容さを身につけるべきだな」

 

 やれやれ、といった様子の反応を見せるカズキはため息をつくとヒロムに鬼月真助の件とは別のある話をしていく。

 

「まずは《鮮血団》の件への礼だ。あの件については《一条》から手を貸してやれなかった。貴様とその仲間が迅速に動き敵を倒してくれた事で街への被害を防げた。報告によれば街への毒の流出の危険もあったと聞いている、それを防いでくれたことはとても大きい」

「毒の流出阻止の礼ならガイにしてくれ。敵の毒を受けながらも動いてくれたアイツの勇敢な行動のおかげだからな」

 

「ふっ、ならば日を改めてこちらから雨月ガイに謝礼をさせてもらうとしよう 。次にだが、鬼月真助に妖刀探しのための情報……つまり《斬鬼会》と村正について話した経緯だ」

「あ?それは今話してくれたろ?アイツが妖刀を求めて……

「事の顛末はな。だが肝心の……何故鬼月真助に《斬鬼会》の事を教えてのかを話していないだろ?」

 

「……何か特別な事情でもあったのかよ?」

「順を追って話そう。まず鬼月真助を頼ろうとしたのは他でもないあの男が妖刀の使い手としてその危険性を把握しているからだ。敵となる《斬鬼会》は妖刀を集めている。このことから妖刀を扱えるものが数人いてもおかしくないと考えている」

 

「真助はその妖刀使いを相手に戦う事が可能な能力者として選ばれたってわけか」

「それだけではない。鬼月真助は妖刀使いの長いキャリアの中でその身に妖刀の持つ異質な気を受けていたとして、妖刀が持つ異質な気を感じ取れる感知力が備わっていると考えている」

 

「考えているって……確証もないのにその可能性があるってだけで真助を選んだのか?」

「その可能性に賭けるしかない、ファウストが受け持ってる《斬鬼会》ってのは妖刀を集めるために各地を回ってることしか大きな情報がない。それも政府が世間に明かしていない封印されている妖刀を次々にだ」

 

「政府に情報を漏らしてる野郎がいるってのか?」

「情報を横流しされた程度で封印が無駄になることはまずない。妖刀の封印はそのどれもが幾多に重ねられたもので浅い知識しかない人間が封印場所を知ったからといって解けるものじゃない」

 

「なら一体……」


 妖刀の封印に関しての情報を横流ししている線を怪しもうとしたヒロムに対してカズキはその可能性の低さを語り、ならば何が問題なのかとヒロムが疑問に思っているとカズキはヒロムに対してある可能性を語っていく。

 

「封印場所を知っているのではなく、封印されている妖刀を感じ取り場所を探っているとしたら……どうだ?」

「おい、それって……オマエが真助に期待してることと同じじゃねぇのか?」

 

「鬼月真助は頼ろうと考えたのはファウストが敵にそれを可能にしている人間がいると発言したからだ。政府が世間に明かしていない封印場所についての情報を仮に世間の誰も知らないと仮設した時に他の方法を検討した結果……敵には妖刀の気を感じ取れる高い感知力を備えた人間がいると考えられる結論に至った。ファウストのその考えには多少の問題点や指摘はあるものの情報の少ない《斬鬼会》のこれまでの行いから考えてその線で策を用意しても不備はないと判断した」

 

「だから真助に頼ろうってのか……。にしても、これまであれやこれやと先回りして予防線張るなりしてたオマエらが悩まされるとは……その《斬鬼会》ってのは相当頭のキレる能力者がいるってことだよな?」

 

「妖刀の封印を解いて集め回ってる連中だ。その辺にいるような低脳でないことは当然だ」

 

「……妖刀の気を感じ取れる感知力を持った人間の指揮で動いてると思われる《斬鬼会》と同じように妖刀の気を感じ取れる感知力を持っていると期待される妖刀探しの旅途中の真助……どっちが残っても片方が妖刀を手にする未来は避けられないよな?」

「構わん。《斬鬼会》が残ればオレが責任を持って始末するし、鬼月真助が残ればそれは貴様ら《天獄》の戦力が確保されるとして今後の日本のために尽力してもらうだけだ。鬼月真助に関しては力の誘惑に屈する心配もしていないからな」

 

「敵に先を越されたら後始末は引受ける一方で阻止出来たらその後も続けて日本のために動かすってか。人を動かすのが上手いのか利用するのが上手いのか……」

「どちらかは貴様がこれから見定めるんだな。

さて……わざわざここに居座らせてる理由だが、最後の1つは少し厄介でな」

 

「何……?」

 

 ヒロムをここに長居させている理由、3つ目となる理由に少しばかり難があることを伝えるカズキに対してヒロムは……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ