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五十四斬


 圧倒されるほどの強さを見せていた斬甲を一転して追い詰めた真助。真助に対抗するかのように斬甲は何やら不気味な力を纏い始め、真助と斬甲は互いに相手を倒すべく力を高めながら構えると敵を倒そうと走り出す。

 

 走り出した真助は黒い雷を右手に集めると刀の形を与えながら掴み取り、斬甲は右手に不気味な力を集中させると長刀に変えながら装備して真助に斬り掛かろうとする。

 

「オラァ!!」

「はぁっ!!」

 

 互いに敵を斬ろうと振り下ろし、真助の黒い雷の刀と斬甲の長刀がぶつかると火花が散る。

 

 真助は黒い雷の刀を強く握ると連続で斬りかかり、斬甲は長刀を地と水平に構えると連続で突きを放って応戦し、2人の連続攻撃は互いに向けられた攻撃とぶつかって相殺しあい、互いの攻撃の全てが相殺されると真助は黒い雷の刀に自分の力を集めると黒い斬撃を飛ばして敵を仕留めようとする。

 

「得意の黒い雷と斬撃の組み合わせか、なら!!」

 

 真助の黒い斬撃を見るなり斬甲は長刀に纏う不気味な力を纏わせ、長刀が力を纏うと斬甲は素早く振り下ろすと共に大地を引き裂くほどの威力の斬撃を放って真助の黒い斬撃を迎え撃ち、そして2人の放った斬撃はぶつかり合うとこれもまた相殺し合って消滅する。

 

 斬撃が消滅すると真助の手から黒い雷の刀が消えてしまい、対する斬甲の手に持たれる長刀も砕け散ると粒子となって消えていく。

 

「……ちっ」

(コイツ、ヒロムを倒すために用意されたとか言ってたけど口先だけじゃねぇな。あの力、あの不気味な力は妖刀から与えられる力じゃないならまだ一段上があることになる。これがあの野郎の能力だとしたら……)

「あんま考えんなって。考えたところで変わんねぇからよ。というか考えたところで変わらねぇよ」

 

 互いに攻撃を放ちぶつけ合い、力を溜めた一撃をぶつけて武器が消えるだけで終わり実力が均衡する真助と斬甲。次にどう攻めようかを頭で真助が思考していると斬甲はそれをやめるように言い、斬甲は不気味な力を両手に集めるとそれらを双剣に変えて装備していく。

 

「今度は二刀流か」

「オマエの力はある程度把握してる。その黒い雷は魔力を断ち能力等を消し去る効力を持つが妖刀の持つ力や魔力を介さぬ力は断ち斬れない。オレの持つこの《鬼魂》のように、な」

 

「やっぱそれは妖刀の力じゃなかったか」

「簡単に言うなら呪いだ。オレの中に流れる鬼の血が魔力を変異させるこの力はオレの生命力を貪るが……代わりにオレは爆発的な力を扱える」

 

「なるほど。けど、いいのかよ?

早々にタネ明かしなんかしてよ」

「構わないさ。どうせ、この段階になるとそういうのは関係なくなる」

 

 真助に自らの力について明かした斬甲が一言つぶやくと彼の全身から戦闘前とは比べ物にならない凄まじい殺気が解き放たれ、さらに斬甲の体に痣にも見える無数の紋様が浮かび始める。

 

「オマエもやれるってか。なら、同じことをするだけだ!!」

 

 力の増幅、斬甲の紋様を見た真助はそれが自身の黒い痣と同じだと察すると黒い雷をより強く纏いながらその力を高めて自身の右頬の黒い痣を広げながら力を増幅させ、力を増幅させた真助は黒い雷を変化させて雷の刀を生み出すと構えて斬甲を倒すべく動き出す。

 

「同じか……なら試してみろ」

 

 真助が動き出すと彼を倒そうと斬甲は残像を残すほどの速度となって駆け出すと真助へと一気に迫って双剣で斬り掛かっていくが真助は黒い雷の刀で何とかして防ぎながら反撃して一撃でも喰らわせようとする。が、斬甲は真助の攻撃を防ぐこともせずに躱すとすかさず攻撃は放っていき、真助は黒い雷の刀で弾くと全身に黒い雷を強く纏いながら自身の力を高めて加速して斬甲の速度に対応しようとした。

 

 しかし真助がどれだけ加速しても斬甲の残像を残すほどの速度に並べず、速度で勝る斬甲は真助を追い詰めようと真助の周囲を超速で駆けながら翻弄しようとする。

 

「なっ……まだ速くなんのか!?」

(コイツの力の増幅、天井がねぇのか!?

こっちの《狂》の力の増幅は下手すりゃ暴発して肉体に負担がかかるってのに、あの力の増幅はまだ続くってのか!?どうにかして止め……)

 

 翻弄しようと駆け回る斬甲のどこから来るか分からない攻撃に警戒心を強めていた真助だったが彼は突然足を止めてしまい、さらには手にしていた黒い雷の刀を手放してしまう。

 

「……」

「んだよ、諦めたのか?」

 

 真助が止まると斬甲は彼が諦めたと思うと真助の背後に現れると双剣を振って真助を仕留めようと動いた。

 

「呆気ない終わりだっ……

「オマエがな」

 

 斬甲の双剣の攻撃が放たれる瞬間、真助は双剣の攻撃が放たれるよりも先に振り向くと同時に踏み込んで斬甲の懐に入り込むと右手を素早く突き出すと同時に掌底を斬甲の胸に叩きつける。

 

 そして……

 

「がっ……あっ……!?」

 

 真助の掌底が胸に叩きつけられると斬甲の全身に衝撃が駆け抜けて吐血し、そして斬甲は双剣を手放し膝から崩れ落ちていく。

 

「な、何を……」

「……悪いな。持ってたわ、妖刀に勝る技がな」

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