五十三斬
斬甲の攻撃に受けて追い詰められているかのように思われた真助。しかし真助は斬甲の話を聞くなり何か策があるかのように強気になり、真助の強気な態度と彼の発する殺気を受けた斬甲は彼の自信に対して不思議に思いながらも拳を構えると彼を倒そうと動き出す。
「ハッタリなら聞く気はねぇ。大人しく力の差を認めて倒れとけ」
真助の言葉をハッタリと評した斬甲は真助を完全に倒すべく慣れに迫ると拳を顔に叩き込もうとするが、真助は斬甲の拳が顔に叩き込まれるその瞬間に体を後ろに仰け反らせて躱すと相手の胸ぐらを掴んだと同時に頭突きを喰らわせ、頭突きを受けた斬甲が怯むと真助は不敵な笑みを浮かべながら斬甲の顔を力一杯に殴る。
殴られた斬甲は仰け反り数歩後退させられた上で血を口から流してしまうも真助を見るなり自身の胸ぐらを掴む彼の手を掴み返して勢いよく振り向くと同時に投げ飛ばそうと真助の体を持ち上げようとした。
「何度やっても……
「普通ならそれで詰めるだろうな。でも、オレには足りない」
が、真助は投げ飛ばされるその瞬間に自ら跳ぶことで投げようとする斬甲の体勢を予期せぬ行動によって崩させ、真助の一手で敵を投げようとしていた斬甲の体勢が少し崩れ、体勢が崩れたことで斬甲が投げ技を中断せざるを得なくなると今度は真助が斬甲の腕を掴むなり強引に持ち上げると共に投げ飛ばす。
「コイツ……!?」
投げ技を阻止されただけでなく逆に投げ飛ばされた斬甲は空中で受身を取って着地すると真助を倒すべく構えようとするが真助はそんな斬甲との距離を素早く詰めると頭を蹴り飛ばそうと回し蹴りを放ち、斬甲は見切ったらしく簡単に回し蹴りを躱して真助に一撃を放とうとした。しかし、真助の回し蹴りを躱し反撃しようとした斬甲が一撃を放とうとすると真助はさらに回転して勢いをつけた状態で再度回し蹴りを放って斬甲に蹴りを食らわせ、蹴りを食らわせたと同時に敵の反撃を阻止した真助は食らわせた蹴りに力を乗せると斬甲を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた斬甲は地に叩きつけられそうになる瞬間に裏拳で地を殴って吹き飛んだ際の勢いを殺した上で地を殴った反動を使って立ち上がってみせた。
立ち上がった斬甲は構えながら真助を睨むと首を鳴らし、斬甲を真似るように真助は構えると笑みを浮かべながら斬甲のある点について触れ話していく。
「はっ、思った通りだ。オマエ、ヒロムを倒すために用意されただけあって先読みの対策がされてるな。ヒロムが生み出した先読みの技たる《流動術》、アレは雑念を捨て常時集中状態となることで発揮される一種の未来予知。敵の気配や殺気から行動を読むって単純な技でありながらヒロムのそれは確実に当たるから対策は必須だよなぁ」
「……先読み対策の技を読んだというのか?」
「いいや、読んでねぇよ。元々オレはヒロムの見様見真似で《流動術》に近いのを使えるようになってた。けどヒロムの《流動術》に対応するための術をオマエが使ってるとなればオレのじゃ敵わなくなるしオレ程度のを使い続けりゃ後手に回される……だからアテを変えた」
「変えただと?妖刀の無いオマエが他に何に頼ると言うんだ?」
「……本能、それに身を任せることにしただけだ!!」
斬甲の動き、先読みを封じる術を使っていたと語った真助は対抗するために『本能』という術を選んだと叫ぶと黒い雷を強く纏いながら真助は斬甲を倒そうと襲い掛かり、真助が迫り来ると斬甲は迎え撃とうと攻撃を仕掛けようとする。
が、真助は斬甲が攻撃を仕掛けようとすると高く跳ぶなり斬甲を跳び越えて背後を取るように移動し、真助の移動に反応するべく斬甲が振り向こうとすると真助はそれに合わせるように肘を叩き込ませ、真助の肘が叩き込まれた斬甲が怯むと真助は続けて連撃を叩き込んで追い込み、そして真助は黒い雷を纏わせた連撃をさらに放って斬甲を追い込むと左手に黒い雷を集めると共に拳撃を叩き込んで殴り飛ばす。
真助の拳撃を受けた斬甲は今回も受け身を取ろうとするが斬甲が受け身を取ろうとすると彼の右足に真助の手から伸びる黒い雷の鎖が絡まりつき、真助は勢いよく自身のもとへ引き寄せるように力任せに引っ張って受け身を取ろうとする斬甲の行動を妨害しながら強制的に引き戻す。
「しまっ……
「喰らえ……!!」
自身の策略によって自身のもとへ向かってくる斬甲が慌てて立て直そうとする中で真助は両手に黒い雷を強く纏わせると手刀による連撃を放って斬甲に食らわせ、黒い雷を纏った手刀で攻撃された斬甲は手刀でありながらも刃に斬られたような傷を負いながら倒れてしまう。
斬甲が倒れると真助は首を鳴らしながら黒い雷を両手に強く纏わせて構え、真助が黒い雷を両手に纏い構える中で斬甲は負傷しながらも立ち上がると吐血し、吐血した斬甲は首を鳴らすなりその身に何やら不気味な力を纏い始める。
「……仕方ないか。少し、本気を出すことにする」
「どうせなら出せよ……オマエの武器を!!」
「……オマエが生きていれば拝ませてやろう!!」




