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五十二斬


 《斬鬼会》最後の妖刀使いの斬甲。矢如月、砕千、弥咲よりも先に《斬鬼会》の生み出した妖刀に選ばれたとされる北門の名を背負う彼は刀を持たない真助に合わせるかのように妖刀を抜刀せずに肉弾戦で仕掛けようと動き出す。

 

 斬甲の発した殺気を全身に浴びてその凄まじさに驚きを隠せなかった真助は斬甲が動き出すと我に返るなり構えて迎え撃とうとし、真助が迎え撃とうとすると斬甲は軽く跳ぶと飛び蹴りを放とうとする。

 

 斬甲が飛び蹴りを放とうとすると真助は蹴りを受け流すように躱してから反撃しようと手刀で一撃を放とうとす……るが、斬甲は飛び蹴りを躱されると空中で器用に立て直すと真助が手刀で一撃を放つよりも先に踵落としを繰り出す。

 

「っ……!!」

 

 斬甲の踵落としに真助は驚きながらも後転するようにして躱しながら距離を確保して黒い雷を纏った手刀で斬甲の頭を潰そうと一撃を繰り出すが斬甲は真助に背を向けるなり体勢を低くしながら手刀を避け、流れるように真助の懐に入り込むと真助の体に肩を勢いよく入れるかのように突進して真助に衝撃を叩き込みながら彼を吹き飛ばす。

 

「この……」

(八極拳!?違う……八極拳の動きを取り入れながら我流に変えてやがるのか!!)

 

 斬甲の一撃で吹き飛ばされた真助は勢いよく倒れながらも素早く立ち上がると両手に黒い雷を纏わせ、さらに纏わせた黒い雷を苦無の形に変化させながら無数に生み出すと斬甲に向けて投げ飛ばしていく。

 

「造形術か。まぁ、効かんけどな」

 

 真助の投げた黒い雷の苦無を見た斬甲は関心するように言うと一切の無駄のない動きで流れるように全て避けると地を強く踏み締めながら右手で空を殴り、斬甲が空を殴ると真助の体に強い衝撃が襲いかかって彼は勢いよく吹き飛び倒れてしまう。

 

「がっ……!!」

「マスター!!貴様……!!」

 

 真助が倒れると空牙は真助を守るかのように黒い雷を纏いながら斬甲に迫って攻撃を仕掛けるが斬甲はそれらを簡単に躱して空牙を殴り飛ばし、殴り飛ばされた空牙は倒れそうになるも立ち上がると威嚇するように唸り声を発して斬甲に殺気を向ける。

 

「おいおい、オレに動物虐待の趣味はないんだぞ?

まぁ、腹ごしらえに食うことは好きだけどな」

 

「隙だらけだ」

 

 斬甲の意識が威嚇する空牙に向けられる中で真助は背後から敵へと接近して回し蹴りを放って一撃を喰らわせようとするが斬甲は背後からの攻撃を視認無しで簡単に躱してしまい、さらに斬甲は真助の回し蹴りを避けると彼の足を掴むなり勢いよく地に叩きつけてしまう。

 

「がっ……」

(んだよコイツ……どうなってやがる!?

オレの動きが全部読まれてる!?それ以前に……コイツの動きが読めない!!)

 

 自分の力が通用しない、それだけでなく斬甲の動きが読めないと思わされる中で地に叩きつけられた真助は吐血してそのまま倒れてしまい、真助が倒れると斬甲は彼の足を離すなり彼に自身について語り始める。

 

「オマエじゃ勝てねぇよ、オレには。何せオレはあの人がオマエではなくある男を倒させるために戦闘の全てを叩き込んだ戦闘兵器だからな」

 

「戦闘兵器……?」

「そっ、姫神ヒロムを叩き潰すための人型戦闘兵器として用意されたのがオレだ。姫神ヒロムに勝てないオマエじゃ勝てねぇってわけさ」

 

「ヒロムを……!?」

 

「そっ、姫神ヒロムをな。あの人は《神災 》の完成に向けて動く中で自分の筋書きの障害になる存在を挙げた。まず《一条》、日本最強と謳われる能力者が頭に立つ名家に介入されるのは厄介でしかない。次に姫神ヒロムだ。裏で支配されていた日本の闇を悉く破壊しその存在は能力者を画すほどと言われている。で、最後にオマエだ。オマエだけが妖刀を人為的に生み出せる異分子ってことで警戒されてたようだがこの様子じゃ深読みしすぎだな」

 

「ん、だと……?」

「まぁ、姫神ヒロムについてもついさっきあの人の前に現れて一戦交えたらしいが《神災》無しでも大して苦戦しない程度と評価して撤退されたらしいから実質今のところ脅威なのは《一条》くらいってわけだな」

 

「……撤退……」

「ああ、無理に相手する必要なしと判断されたらしいな。オレとしてはあの人に倒されたとなったらオレのいる意味が……

「ク……ハハ……」

 

「ん?」

「んだよ……そんなもんか」

 

  斬甲の話を聞いた真助は何を思ってのか、何か 可笑しかったのか何やら呟くとゆっくりと起き上がり、そして立ち上がった真助は斬甲に向けて殺気を放ちながら敵の言葉を指摘していく。

 

「妖刀が無くても苦戦しなかった?なら倒せよ。出来ねぇから逃げたんだろ?ヒロムを倒したかったみたいに言ってるけどよ、オマエ如きじゃ倒せねぇよ。アイツは簡単に力量測れるような野郎じゃねぇ」

「強がるなよ。オマエじゃオレには……

「勝てない、てか?なら試してみるか?ヒロムに挑み一度負けた経験のあるオレとヒロムを倒すためだけに技術を仕込まれて寄り道してるオマエ、どっちがヒロムに挑戦する権利を手にする強さがあるかをよ!!」

 

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