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四十七斬


 弥咲に対して強気な態度を見せ、そして既に勝利する道筋が見えていると語る真助。

 

 自らの妖刀の力による攻撃を見抜かれたことが未だに信じられない弥咲はそれについての動揺が隠せぬのか真助を迎え撃とうと構えるその姿に隙があるように見え、真助は刀を構え直すと黒い雷を纏いながら走り出す。

 

「さぁ、狂うように戦おうか!!」

 

「そんなものに付き合うつもりは無い!!」

 

 真助が走り来る中で弥咲は妖刀《不獄》を振り上げると自らの姿を消すと同時に幻覚による5人の弥咲を出現させて真助を潰そうとするが、真助はそれらを気に止めることも無く素早い身のこなしで躱し抜けて弥咲が消えた地点まで達すると刀を振り、真助が刀を振ると空間が抉れるようにして闇と共に弥咲が現れ、現れた弥咲は真助の行動が予想外だったのか慌てて高く飛んで逃れようとする。

 

「こんなはずは……」

「こんなはずじゃなかったってか?」

 

 真助から逃げるように高く跳んだ弥咲は立て直そうとしていたが、真助はそんな弥咲を追うように高く跳ぶなり黒い雷を纏いながら刀による連続攻撃を放っていく。

 

 真相により放たれる連続攻撃に対して弥咲は妖刀《不獄》で受け流すようにして防ぎ、真助の連続攻撃を防ぎ切った弥咲は 闇を纏うと彼の前から消えようとする……のだが真助は黒い雷を手に纏わせると消えようとする彼女の首を掴んで無理矢理闇から 引きずり出し、予想外の真助の行動に弥咲が驚いているのも構うことなく真助は勢いを着けるように回転すると彼女を地に投げ落とす。

 

 投げられた弥咲は勢いよく地に叩きつけられてしまい、その衝撃で負傷したらしい弥咲は立ち上がるも頭でも打ったのかフラついていた。

 

「こんな……」

「オラァ!!」

 

 弥咲がフラついていようが構うことなく真助は急降下するとその勢いのまま刀を振り下ろして彼女を斬ろうとするが弥咲は何とかして意識を保たせると躱し、これ以上真助に攻撃させないと考えた弥咲は妖刀を振り上げると先程生み出した5人の弥咲の幻覚 を彼に差し向ける。

 

「…… それは見飽きた」

 

 5人の弥咲は真助に迫ると一斉に斬り掛かろうとするが真助は刀を素早く振って一瞬で消滅させ、5人の弥咲の幻覚を消された弥咲本人が闇に消えようとするであろうと読んだ真助は黒い雷を球のようにして敵に向けて撃ち放つ。

 

 真助の放った黒い雷が迫り来ると弥咲は躱すために走ろうとするが、彼女が走ろうとすると黒い雷は突然爆発して彼女の視界を妨げるかのように戦塵を巻き上げてしまう。

 

「!?」

 

 視界不良、狙ったかのような戦塵に視界を妨げられた弥咲の動きが一瞬止まってしまうと巻き上がる戦塵を駆け抜けるようにして真助が走り迫って来る。

 

「……これ以上は好きにさせない!!」

 

 真助の接近に対して弥咲は妖刀に闇を纏わせると素早い突きを放って彼の頭を穿とうとする……が、弥咲の妖刀が真助の頭を貫こうとその切先が彼に触れようとすると突然真助は蜃気楼でも見せられていたかのように音もなく消えてしまい、真助が消えたことに弥咲が意識を奪われていると彼女の背後に真助が現れ、現れた真助は彼女が反応しようとするよりも先に黒い雷を纏った刀で突きを放って彼女の腹を貫く。

 

「がっ……ぁぁぁぁあ!!」

 

 刀で腹を貫かれた弥咲は吐血し、刀に纏われる黒い雷が彼女の体を巡るかのように流れていく。

 

「終わりだ」

 

 真助が一言呟くと彼の刀は弥咲の腹を貫いたまま砕け、刀が砕け散ると弥咲は妖刀を手から落とした後に倒れ、そして真助の精霊・空牙が足止めしていた髑髏武者と刀哉が相手にしていた幻影が一斉に消えると続くようにして美琴が相手をしていた絡繰呪装機が動きを停止した直後に自壊していく。

 

「どうやら、鬼月真助が勝ったようだな。いやはや、恐ろしい男だ」

「流石、というべきなのかしらね」

 

 刀哉と美琴が真助の勝利を感じている中で真助は倒れた弥咲に歩み寄り、真助が歩み寄ってくると弥咲は苦しそうにしながら言葉を発する。

 

「……どう、して……!?

どうして、私が……」

「オマエの妖刀の力は凄かったよ。けど、オマエ自身がその力を振るうに相応しい精神力を持ってなかったってだけだ」

 

「そんなはず、ない……!!

私は、貴方を……殺すために……!!」

「たしかに最初はオレの手の内を知ってるようで驚かされたぜ。けど……オマエ、過去に囚われてるからそこで止まってたんだよ。手の内を把握してはいても今現在進行してる変化を予測出来てなかった。最初はオマエに向いてた流れがオレに向いたのはオマエが過去しか見ていないからこその結果ってわけだ」

 

「私が……過去に……?」

「だから途中からオマエの動きは力に頼る一辺倒になったんだよ。オマエが過去に囚われず過去と共に今と未来を見てれば変わってたかもしれないけどな」

 

「……認め、ない……!!

私は、認めない……!!主様の理想世界のためにも……」

 

 真助に向けて言葉を叫ぼうとした弥咲だったが彼女の言葉をとざすかのように妖刀《不獄》は砕け散り、妖刀が砕け散ると天へと妖しい光が打ち上げられた直後に弥咲はその全身が闇に飲まれながら消失してしまう。

 

 弥咲の肉体が消失すると真助はため息をつき、ため息をついた真助は天を見上げながら呟いた。

 

「……ったく、世の中面倒な繋がりがあるもんだな」

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