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四斬


 現在……

 

 

 真助が戦闘を行った地点から約2kmほど離れた高台のような場所。

 逃げていた2人の男を仕留めた真助は資材置き場から引き摺りながら一条カズキの部下のもとへと運んでいた。

 

「おい、捕まえてきたぞ」

 

「ふむ、ご苦労……と言いたいが、何故負傷している?」

 

 真助が2人の男を連れて合流した一条カズキの部下……色素の抜けたような白髪に生気のないような目を持ち、何故かガスマスクで口を覆っている白衣の青年が2人の男が負傷している旨について疑問視して真助に問い、問われた真助は青年に向けて経緯を話していく。

 

「どうしても何も《斬鬼会》の名前を出したから吐かせようとしたらオレの方見るなり逃げやがったんだよ。追いかけて追い詰めたらいきなり発砲してきやがるし……だからやり返した」

「オマエ、尾行というのはしなかったのか?」

 

「手っ取り早く済ませた方がいいかと思ったんだがな。

そういうアンタの方は?えっと、名前……」

「ファウストだ、早く覚えたまえ。呼びにくいなら無駄に名前で呼ばなくても構わないが……可能ならばもう少し利口に動いてくれ」

 

「へいへい、すいませんね。

で、アンタの方の成果は?」

「ふむ、こちらの調べによれば私たちが到着する前日には《斬鬼会》と思われる者たちが集落から離れた地点にある森に入るのを目撃している」

 

「森……」

「オマエがその2人を追いかけたのとは別方向にある。森を抜ければ別の集落があるらしいが、ここで長く暮らすご老人によればこの集落の外れにある祠に1本、森を抜けた先にある集落からさらに進んだところにある山に1本封印されているらしい」


「てことは……」

「おそらくその2人の男はこの集落の祠から妖刀を持ち去る予定だったのだろう。オマエが邪魔して終わったようだがな」

 

「ならここはもう大丈夫なのか?」

「それはない。オマエがその2人を倒したことで本来なら回収されるはずの妖刀が敵のもとへ届かなくなっている。つまり、敵は私たちを邪魔者が現れたと認識しているはずだ」

「安心は出来ねぇってか」

 

 青年・ファウストの話から2人の男の撃破で安心できることは無いことを知らされた真助は油断ならぬ状況に厄介そうな反応を見せるが、同時に真助の顔には何かを期待していることを感じさせるようなものがあった。

 

 喜び、期待……それらに当てはまるであろうものを秘めた表情を見せる真助に対してファウストはやれやれと言ったような様子でため息をつくと彼に忠告する。

 

「ここへは戦いを楽しみに来たのではないことを忘れるなよ?私は《斬鬼会》の目的の調査、オマエは村正の捜索。その上で私たちは《斬鬼会》を妨害して殲滅することが目的だ」

「強いやつがいるならオレには好都合。

オレが強いやつを倒してオレに注目が集まればアンタの方は《斬鬼会》のことを調べやすくなると思うんだが違うか?」

 

「陽動を買って出るつもりか?」

「オレはアンタみたく頭使うのは苦手でな。体動かす方が性分にあう。オレがそこらで暴れ回る方が《斬鬼会》の連中も警戒心高くなるだけじゃなくて今後のこと考えてオレを警戒して近づく他ないだろうし……都合よく事が進めば《斬鬼会》を潰す妙な野郎が悪目立ちすれば村正もオレを気にせずにはいられないはずだしな」

 

「頭を使うのは苦手などと言っておきながら役回りや敵の行動の予測を踏まえて自分の行動を明確にしているオマエのその思考が私は恐ろしいがな」

「何がだ?」

 

「まぁ、いい。

オマエの意見もあながち間違いではない。《斬鬼会》の動きそのものが表立って確認出来るのであれば私の方の仕事も捗るからな。だがその方法には問題点がある。オマエ、さっきの戦闘で刀が壊れただろ?この先《斬鬼会》の主要メンバーと戦うとなれば相手のほとんどが妖刀保有者になってくるはずだ。だが今のオマエはカタナが壊れたことで丸腰同然、予備の刀もここに来るまでの戦闘でオマエの力に耐えれず壊れている……武器も無しにどうするつもりだ?」

「その辺は心配ねぇよ。万一の備えはいくつか用意してるからな」

 

「……頭を使うのが苦手などと二度と口にするな。オマエは十分、頭を使って相手を騙す素質がある」

 

 真助の言葉、そして彼の抜かりない反応に呆気に取られるファウスト。そんなファウストが所持してるとされる携帯電話が鳴り、音に気づいたファウストが電話に出ようと場を離れていく。ファウストが離れると真助は辺りを見渡すかのように視線を遠くの方へ向けようとし、より遠くを見たいらしい真助は今いる場所より高い場所に移動しようとする。

 

 移動しようとする真助だったが、ふと何かを感じて振り向くと……振り向いた先に白髪の女が立っていた。

 

「女……?」

 

『……来ては、ダメ』

 

「来てはダメ?何言っ……」

 

 白髪の女が口にした言葉の意図が分からない真助は彼女にそれを尋ねようとするが、それを阻むかのように突然強い風が吹き、吹いた風のせいで一瞬だけ彼女から目を離した真助の前からは白髪の女が立っていた場所から消えていた。

 

「あん……?」

 

 まるで最初からいなかったかのように……

 

 

 真助は前に現れた女、彼女は何者なのか?

そして彼女は何を伝えようとしたかったのか……

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