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三十四斬


 美琴の祖父は彼女に嘘をついている、そう語る真助の目は微かな殺気を秘めながら彼女の祖父を見ており、真助が疑う中で美琴は自身の祖父を守ろうと彼に反論していく。

 

「真助、変な事を言わないで。私の祖父は嘘なんてついていないわ。それに私はこの目で祖父が襲われてるのを見てるのよ?それについてはどう説明する気なの?」

「最初はオレもそれを信じてた。せど……ここに来てから違和感を覚えたんだ」

 

「違和感?」

「……何故《斬鬼会》は武上美琴に阻止されて以降刺客を差し向けなかった、だな鬼月真助?」

 

「ああ、その通りだ。千剣刀哉の言った通りじぃさんが敵に狙われたのならオマエが目撃して妨害した段階で対策を行うはずだ。オマエの親父さんを殺すような連中が1人の女に邪魔されただけで手を止めると思うか?オマエが真実を探ろうと離れたのならじぃさんは隙だらけで狙い放題だろ?」

 

「そ、それは……」

「他にも疑問はある。家が爆破された件がまさにそうだ。何故被害が家屋だけで済んだ?何故第三者が情報を集めるのに苦労するような組織で1人も殺せずに終わった?」

 

「あっ……」

 

「何となく分かってきたか?そう、オマエの親父の死亡からこのじぃさんの周りで起きてることは疑問点ばかりが残るんだよ。さらに言うならこの小屋だ。わざわざ人里離れるようにして身を隠してるかと思えば山肌剥き出しの中に建てられていてまるで見つけろと言わんばかりな状況の中にある」

「《斬鬼会》が襲撃してきた際の被害を避けるため……とオレも一瞬は思ったが鬼月真助が明かした点を踏まえて敢えて言うなら人里を離れているのは何かを隠すため、と思うのが自然だろうな」

 

「じゃあ私が目撃したあの襲われてた光景は……自作自演だったの?」

「そうなるだろうな。オマエのじぃさんが敵側の人間ならオマエを自分から遠ざける為に使い捨てが利く下っ端を使ったんだ」

「絡繰呪装機が味方のはずの兵士を吹き飛ばしていた点を考慮すれば説明もつく」

 

 真助の言葉に補足するように刀哉が話すと祖父を守ろうとしていた美琴は徐々に彼らの言葉を信じ始め、そして信じるものが移り変わることにより生じ始める疑いの目が祖父に向けられていく。

 

 信じていたはずの肉親が嘘をついている、その感情が芽生えていた美琴は完全にそれを信じることが出来ないのか祖父に向けて恐る恐る尋ねた。

 

「……何か、弁明することはありますか?」

 

 震えるような美琴の声、恐らく嘘をつかれていたと知ったことによる信じていたはずの肉親の裏切りに対する怒りが彼女の声をそうさせているのだろう。真助と刀哉は彼女の……孫娘の言葉を受けた祖父が何を言うかを見守るかのように待っていたが、疑心を持つ3人を前にした祖父は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深いため息をつくなり人が変わったかのように真助たちを睨むような目を向ける。

 

「……クソじゃな。人が手を貸してやったというのに危険人物を仕留め損なうだけでなく手を組まさせ、挙句の果てにワシの枷になる孫をも消せぬとは……彼奴も程度が知れてるというわけか」

 

「……認めるのね?私を……私たち家族を裏切ったことを!!」

「裏切った?それはオマエじゃ美琴。オマエはワシに手を貸すどころか敵になった……オマエはあのバカ息子の代わりになるくらいしか役目がないというのに、本当に愚かじゃよ」

 

「ふざけないで……!!」

「ふざけてなどおらんわ。ワシは真剣にやるべき事をやっておるだけじゃ」

 

「それが……それが私のお父さんを殺すような連中と手を組むことなの!?どうして!?」

「決まっとるじゃろ?あのお方はワシの事を正しく評価してくださる。オマエらはそれを邪魔しようとしている、それだけの事じゃ」

 

「そんなの……

「やめとけ。これ以上はオマエが辛いだけだ」

 

「でも、私は……」

「このジジィに家族としての恩情があるのは構わないが程々にしとけ。コイツはオマエだけでなくオマエの家族を騙していた悪党だ」

 

「悪党じゃと?ワシはワシの才能を理解してくれるあのお方のために尽くしただけ。それを悪党などと否定され悪く言われる筋合いは無い」

「承認欲求満たすために道踏み外したオマエは悪党だよ。自分の息子の生命を奪っただけでなく家族を騙し、何より……誰よりもオマエを心配して奔走していた孫をも裏切ったクソ野郎なんざ悪党以外の何でもないんだよ!!」

 

「まったく同感だ。鬼月真助の言う通り、アンタは外道だ。

悪いが国の守護者としてアンタを捕縛する」

 

「ふん、例の新制度の檻に入れられた忠犬のつもりか。

残念じゃがワシはオマエら如きに捕まるつもりは無い!!」

 

 真助と刀哉が捕らえようと動こうとすると美琴の祖父が指を鳴らし、祖父が指を鳴らすと屋根や床を壊すように複数の絡繰呪装機が現れて祖父を守るように真助たちの前に立ちはだかり、真助と刀哉は絡繰呪装機の出現に伴い建屋が壊れていく中で首を鳴らすと絡繰呪装機を倒そうと走り出す。

 

「手荒になってもいいよな!!」

「構わんよ。オマエさんのやりたいようにやれ!!」

 

「ああ……ぶっ潰す!!」

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