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十七斬


 砕千が抜刀した軍刀の妖刀、《破戯》と名を与えられたその妖刀の力と思われる強い力により吹き飛ばされた真助。どうにか受け身を取って立ち上がり、黒い雷の刀を構えて砕千の次の攻撃に備えようとするが敵の妖刀の力の全容が分からぬせいで真助は先程までなかった緊張感に内心襲われていた。

 

「とんでもない妖刀(化け物)隠してやがったな……!!」

(今のは何だ?ヤツが妖刀を振り上げると同時に大気が揺れて、それを認識した時には避けたりする間もなく強い力のオレを吹き飛ばしてやがった……何が起きた?あの妖刀の力は一体……)

 

「気になるか?《破戯》の力が?」

 

 妖刀の力を気にする真助の思考を読んだかのように語りかけてくる砕千。その砕千の言葉が聞こえていながらも真助は答えようとせず、無視された砕千は軽くため息をつくと妖刀を持ち直しながら真助に向けて話していく。

 

「普通の人間なら今ので『次の攻撃が来る前に倒す』って思考が固定されるパターンが多いがオマエみたいな妖刀使いはこういう時はまず妖刀の力について考察するもんだ。とくにオマエはここに来るまでの動きから振り返っても注意力や思考する力が極めて高い。これも《天獄》という組織に属する能力者としての力量なのかと思うと流石としか言えないな」


「なんだ……ヒロムたちのことも把握してるってか?」

「当然だろ?今やこの国で姫神ヒロムとその配下のオマエたちを知らない者は少ない。オレたちにとって姫神ヒロムは厄介な相手だからな」

「厄介な相手……?」

 

「あの方はオレたちにこう話してくれた。《斬鬼会》にとって脅威となるのは日本最強の能力者にして《一条》の当主の一条カズキ、日本を支配する元凶を討ち倒した姫神ヒロム、妖刀と相対する存在とされる霊刀を複数所持する雨月ガイ、そして妖刀と深い繋がりを持ちあの方と同様に妖刀の気を感じ取れるとされていた鬼月真助だってな」

「……他のヤツらは相手にするに必要も無いってか?」

 

「他のヤツらはあの方が選定した妖刀とその使い手を送り込めば容易いと話されていた。実際、オレはその通りだと思ってるがな」

「何?」

「数日前に起きた《鮮血団》による騒動……オマエは知らないだろうが紅月シオンを狙っていたそいつらは姫神ヒロムと雨月ガイが手を貸した形で紅月シオンに滅ぼされている。簡単に言うなら……さっき名前を挙げなかったやつらはそいつら無しじゃ荷物同然ってことだ」

 

「荷物……だと?」

 

 紅月シオン、仲間の1人である彼のことだけでなく他の仲間のことすら荷物などと侮蔑されるような言葉を聞かされた真助は全身に黒い雷を強く纏うと目に見えぬ強い力を解き放ち、解き放たれた力は大気を震わせ砕千を威圧していく。

 

「うぉ……!!矢如月の矢の雨を消し飛ばすほどの力を持った殺気、これほどの強さとはな……!!さすがはあの方が警戒するだけのことはある……!!」

「訂正するなら今のうちだ」

「訂正?」

「オマエが見下したオレの仲間は……オレの好敵手、その力を簡単に見限り評価を下すことなど出来ない強さを持った能力者だ。訂正する気がないなら……仲間の名誉のためにオマエを殺す」

「訂正したら許してくれんのか?」

 

「いいや……殺す!!」

 

 黒い雷を強く纏った真助は黒い雷の刀を構えて駆け出すと砕千に迫って斬り掛かろうとするが、砕千はそれを軍刀で簡単に防ぎ止めると全身から妖刀の強い力を発せようとす……るが、真助は負けじと黒い雷を轟かせるように強く纏い殺気を放って砕千にぶつけ、それを受けた砕千は怯んでしまう。

 

「なっ……んつう殺気だ……!!」

「死ね」

 

 真助の発する殺気に圧倒される砕千が立て直す前に仕留めようと真助は黒い雷の刀で敵の首を斬ろうとする……が、真助が敵の首を斬ろうとすると突然何かが真助の攻撃を防いでしまう。

 

「!?」

 

「簡単に終わるのは面白くないだろ?楽しもうぜ……《破戯》の力はここからなんだからよ!!」

 

 これからだと言わんばかりに力を高める砕千は軍刀を強く握りながらそれを振って斬撃を飛ばし、斬撃が飛ばされるとそれに続くように烈風が渦巻きながら斬撃とともに真助に襲いかかる。

 

「これは……風を操るのか!?」

「ご名答!!《破戯》はこの地上のあらゆる場に存在する大気を支配して攻防に用いる力を持つ!!悪戯で破壊を行う……大気ある戦場でオレに負けは無い!!」

 

 真助が《破戯》の力を理解したとしても砕千は止まらない。妖刀をさらに振ることで天から巨大な大気の塊を彼に叩きつけ、さらに四方から大気の刃を飛ばすようにして彼を仕留めようと攻撃を放つ。

 

 頭上からの大気の塊に対応しきれなかった真助はそれによって地に叩きつけられ、動けなくなったところに刃が飛んでくる。大気の塊が叩きつけられた際の力で周囲に戦塵が巻き起こっていて姿は見えないが砕千は手応えを感じていた。

 

「……さすがのオマエもこれを受けて立ってはいられないはずだ。悪く思うなよ?オレもあの方のために勝たなきゃいけないからな」

 

 真助は倒れた、そう判断したのか砕千は軍刀を鞘に納めようとし。すると……

 

 突然舞い上がった戦塵が吹き飛び、戦塵が消されると中より真助が無傷で現れる。

 

 倒したと思ったはずの敵の再登場に少し驚く砕千だが、彼の登場よりもさらに驚くものを見つけてしまう。

 

「オマエ、それはいつの間に……」

 

 驚きを隠せない砕千は真相を暴こうと真助を……真助の左手を指差しながら問う。

 

 真助の左手、その左手には小太刀が握られていた。

 

 左手に持たれた小太刀に砕千が驚きを隠せずにいると真助は黒い雷の刀と小太刀を構えながら砕千に告げる。

 

「やっぱオマエら《斬鬼会》はこの隠し玉を知らなかったらしいな。こいつは霊刀《號嵐》……壊れて使えなくなった1本と合わせて1つと数えられている2本1式の霊刀だ!!」

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