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十五斬


 敵の施しによって刀を得た真助はそれを手にして砕千を倒そうと動き出す。が、真助としてはこの刀1本を得たというだけでは心許なく思えていた。

 

 何故なら砕千の得物は大剣、しかも砕千の一振りは振り下ろした際の勢いそのままに衝撃が生み出され大剣の攻撃軌道上を飛んでいくという遠近からの攻撃を成立させている。

 

 さらにその砕千の力任せに見える大剣の攻撃も一方向だけでなくこちらが死角に回り込もうとしたらしたで全方位攻撃おなる回転斬りを行ってくる。

 

 大剣という力に身を任せるような武器を扱いながら動きは機転を利かせている。見た目と中身が伴っていない、そんな相手にどこの誰が打ったか分からない刀で挑むとなると真助は不安を隠せなかった。

 

「武器の性能差ありすぎだろ……」

(あの大剣を受けてこの刀で耐えられるかは怪しい。下手すりゃ1発受けて壊れるか刃がかけて武器として機能しなくなるか……アイツを倒すために取るべき行動は回避してからの反撃、大剣と刀の性能差を埋めて勝つにはそれしかない!!)


 大剣を構える砕千が迫る中で真助は手にした刀で敵を倒すに最適な方法を導き出し、それを実践すべく駆けて距離を詰めていく。

 

「どりゃあ!!」

 

 真助が接近してくると砕千は倒すべく大剣を勢いよく振り、砕千が大剣を振ると真助は大剣を振った瞬間の砕千に生じるスキとそれに伴い反応が遅れるであろう死角を見つけ出し、砕千が振る大剣を避けた真助は即座に砕千に生じるスキを利用する形で死角に入り、大剣による攻撃を躱された砕千に生じたスキを突くように真助は刀を強く握ると砕千に一撃を喰らわせようとした。しかし……

 

「甘い!!」

 

 真助が一撃を喰らわせようと迫る中、砕千はとそれを読んでいたかのように真助の方を向くと大剣を盾にするように構えて刀の攻撃を受け止め、攻撃を受け止めた大剣を押し出すようにして刀を押し返すと砕千は大剣の柄で真助を殴打して軽く吹き飛ばす。

 

「ちぃっ……!!」

 

 吹き飛ばされた真助は吹き飛ばされる中で受け身を取りながら着地して即座に立て直し、真助が受け身を取り立て直すのを待つように見ていた砕千は嬉しそうに笑みを浮かべると全身に光状の力を纏いながら大剣を振り上げる。

 

「アイツ、魔力を……!?」

(能力者の戦い方にはいくつかあるが、能力者にとっての動力になる魔力を外部放出して纏うことによる身体強化を行ってくるとはな……この野郎、脳筋に見せ掛けて色々仕込んでる策士系か?)

 

「大……斬撃!!」

 

 光状の力……魔力を纏った砕千は振り上げる大剣にもその力を纏わせると勢いよく振り下ろし、振り下ろされた大剣はその力を最大限に引き出すかのように巨大な斬撃を生み出して真助の方へと飛ばしていく。

 

「そうか……そりゃそうか」

 

 砕千の飛ばした斬撃が迫る中で何かに気づいた真助は刀を構えると迎え撃とうとする……が、真助は刀を強く握るなり地を強く蹴って横に跳ぶようにして斬撃を躱し、斬撃を躱したと同時に真助は体を数回回転させながら着地すると回転したことにより生まれた勢いを利用するように刀を振って斬撃を飛ばす。

 

「はぁっ!!」

 

 自らの大剣による斬撃を躱され、そして反撃として斬撃を飛ばされた砕千は大剣に魔力を纏わせると真助の飛ばした斬撃を防ぎ、斬撃を止められた真助は砕千が構え直そうとする前に接近すると今度は敵に向けて刀による連続攻撃を放ち始める。

 

「ざりゃあ!!」 

 

 真助により放たれる刀の連続攻撃。だが砕千はその連続攻撃に対して余裕があるらしく落ち着いた様子で大剣による防御を行い、大剣に攻撃が防がれていると分かりながらも真助は攻撃の手を止めようとせずに連続攻撃を大剣に放ち続ける。

 

「おいおい、数打ちゃ当たるとか思ってんのか?

そんなんじゃオレは倒せねぇぞ?」

「やれるかどうか……試してやるよ!!」

 

 砕千に対して強気な言葉で返した真助は全身に黒い雷を纏うと刀に力をさらに込めながら連続攻撃を放ち、砕千も纏う魔力の力を強くさせながら連続攻撃を大剣で防ぎ止めていく。

 

 防がれながらも放たれる連続攻撃に何かある、それを直感で感じ取った砕千は魔力を強く纏う中で真助の攻撃が止まる瞬間を見定めようとしていた。が、砕千が見定めるよりも先に連続攻撃を放つ真助の刀にヒビが生じ、そして真助が連続攻撃の中の一撃を大剣に放つとヒビは刀身全体に広がりその刃を砕け散らさせる。

 

「はっ、自滅か!!」

「いいや、狙い通りだ!!」

 

 刀の刀身が壊れたことに触れるように砕千が言うと真助はそれを待っていたかのように言葉を発しながら身に纏う黒い雷を刀身の砕け散った刀へと集め、刀に集まった黒い雷は砕け散り消えた刀身を補うかのように収束される中で刃を形成していく。

 

「黒い雷の……刀だと!?」

「はぁっ!!」

 

 刃が砕け散り使い物にならなくなったはずの刀は黒い雷の刃を得ることで刀の機能を維持し、砕千がそれに驚く中で真助は黒い雷の刀で一閃を放って大剣の刀身を見事に両断してみせた。

 

「なっ……!?」

「悪いな西門野郎、こっちにもやり方は色々あんだよ。

丸腰だって余裕かましてたこと、後悔させてやるよ!!」

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