夢に焦がれ
今回は早めに出せた気がする!だけ!
<7話:夢に焦がれ>
『長い夢を見ている気がする。
手にはっきりと残る火傷の後。同じくらいか人と話すのが苦手になったのは。
高校入学したら心機一転人と話そうと、しかし、できっこないのは知ってる。
そんなことは本やSNSにいくらでも情報が載っている。ああ、このまま時間が止まればいいのに。
未来に希望が持てない...。いや、そんなことを言うやつはもう首を括っているか。
じゃあ自分はどうすればいいんだろう。わからない
......こんな訳の分からないこれも夢か。早く目覚めればいい』
「おい、ダリト大丈夫か?しっかりするんだ!」
【応急回復】では完治できない程の傷だったようだ。
それより上級の回復魔法を掛ける必要があるが、そんな悠長なことはしていられない。
ゴブリンが突撃を始めた。ゴブリンとはいえ数が集まれば脅威的だ。
「アリアネさん大丈夫ですか?」
「大丈夫...。【応急回復】で治ります。ですが、ダリトさんは最低でも【中級回復】が必要です。」
ダリトはすぐには怪我で歩けない。ルチアと二人で担いでも逃げ切れるはずがない。時間を稼ぐ必要があるだろう。
ならば。
「ルチア、結界を張ってくれ。アリアネさんが自身を癒すための【応急回復】を放てるように。」
「ダリトさんは...。」
「【中級回復】も放てるほど時間は稼げない。」
「時間を、稼ぐ...?」
リーダーとして仲間の命だけは救わないといけないのだ。
それがリーダーとして最低限の責務なのだと自分に言い聞かせる。
ダリトの重い体を結界の内側になるルチアの傍に移動させる。時間がない急がなくては。
「―――んぁ...ああ、カルロか...顔が険しいぞ...もっと気楽に考えろや。」
お前は軽く考えすぎなんだよと小さく答えた。
この時、無駄口をたたいたのは悲しさを和らげるためか。
ルチアの結界は完成した。ゴブリンの軍勢もだいぶ近づいている。
「カルロさんも中に...。」
「言っただろ。時間を稼ぐって。」
「や、やっぱり、考えすぎじゃなかった...。」
当たり前だろ、と心の中で思った。
「でも、無謀です!私は戦えます!」
「――■■【応急回復】。カルロさん。私は戦えます。」
「だめだ。ダリトを運ぶには君たち二人が力を合わせなければ...。」
「――我らが女神様。どうか私の寿命たる神の力を贄にか弱き者に人の子を救う力を...【神力法純身体強化】」
なんだと!?今のは祈祷魔法。祈りの言葉が詠唱となり、寿命を引き換えに女神に奇跡を願う魔法...。
「あれ!?力が、湧いてくる...。」
「俺もだ...。」
「今のは身体強化を女神に願いました。これでルチアさんでも一人でダリトさんを連れ逃げれるでしょう」
「ダリトさんを回復させることはできないのですか...?」
「寿命が足りません。」
傷を回復させるのにアリアネさんの一生分では足りないのか...。
いや、寿命が縮まるのも絶対によくない。
「...不甲斐ないな。俺は。」
「どうしましたか?いつもの様にリーダーとして指示を。」
「分かっている...ルチア、君はダリトを背負って街に戻れ。」
ルチアは涙をこらえるようにして、言った。
「...私も戦え...。」
「駄目です。一人でも街に戻らなくては。そして、ダリトさんを守らなくては。これは義務です。」
アリアネさんが厳しく言う
「...はい。」
ルチアが弱々しく返した。
「そして、アリアネさんは...。」
「私は戦います。それが私の義務です。」
重みが違う。生まれが違うと、こうまで違うのか。
「本音を言えば、あなたにも街に戻ってほしいのですが。」
「それはできない相談だ。」
「分かっています。さあ、ゴブリン達が来ましたよ。」
と言って結界から飛び出し、懐に隠していた短剣でゴブリンを一体刺した。
俺も長剣を振り一体両断する。
それからは地獄の死闘だ。
ルチアはダリトを背負い街に向かっていく。【神力法純身体強化】で体格差を物ともせず駆けていく。
途中で何度も振り返っているのが目に入った。その眼は泣いていた。
何体倒しただろうか、一体腕を切り飛ばしても捨て身でぶつかってくる。一体切り伏せてもその遺体を踏みつけまた一体飛びついてくる。
死を恐れない狂気的な突撃だ。何が彼らをそこまでさせるのか。
じりじりと押される。自慢の魔法を付与した長剣も肉塊が大量に刺さり満足に振るえない。
アリアネさんもゴブリンの山に飲み込まれ見えなくなった。
ルチアとダリトは逃げきれただろうか。
眼の前に粗末な刃がある。非常にゆっくりで気が抜けるほどだ。
ああ、もっとダリトが言うように気楽に生きればこんなことにはならなかったのか?
眼にゆっくりと刃が入り、何も感じなく.....。
読んでいただきありがとうございます。




