一寸先は闇
正月で完全に怠け切っていたので遅くなりました。
<4話:一寸先は闇>
『これから今までの中で最悪な勇者召喚の儀が始まろうとしている。
それもこれもこの目の前にいる小僧のせいだ。
この司祭となる道はライバルを蹴落とし、より上位の地位を持つ者に媚びを売る、
そんな権力争いで勝利する必要がある。それなのにこの小僧ときたら才能と人格の良さで、
打算しかないような人たちに祭り上げられ、わずか数年で司祭の地に至り、改革派を自称し、
下手をすれば世界に混乱を招くような改革ばかり提案し我ら本当の司祭や
それ以上のお方達に疎まれている厄介者だ。
そんな小僧と協力なんてしたくないに決まっている。』
はっと目が覚めて、暗い岩肌が見えて、異世界に来たのだと思い出した。
硬い岩肌に預けていた体がきしむ痛みで完全に覚醒する。嫌な目覚めだな。布は寝れるくらい十分な数を用意して欲しかったな、前ゴブリン・ロードさん。
長老曰く、前ロードはゴブリン達の偉人だったようだ。
衛生、食事、戦闘など。だからやることが多すぎて不十分なところがなどがあり、柔らかい布団などはなく、重傷者用の薄く汚い布だけだ。だけど、長老はそれより前の時代の方がさらにひどい生活をしていたそうだ。
以前は、親兄弟だろうが不信感が絶えず、集団戦闘が苦手だった。だが、部族みんなで人から略奪を繰り返していた。仲間は肉壁程度にしか考えていなかったらしい。個人的にはこっちのほうがゴブリンっぽいと思ったのは言わないでおこう。
と、朝の行水をしながら思い出した。この行水も前ロードが発案者だそうだ。汲んだ水を体にかける程度だが。
前ロードは人間の生活や文化を学習していたっぽいが、であれば風呂が欲しかった。洞窟の湧き水なのでまるで体が切り裂かれるような冷たさだ。お湯が欲しかった。
体が震えたまま行水を終えたら、地表に出て朝ごはんを受け取る。昨日と同じ肉と食べれる雑草っぽいのが添えられていた。肉はそこそこ美味しいかったのだが、雑草は青臭く、苦みがある。現に他のゴブリン達も嫌な顔をしながら口に押し込んでいた。前ロードが健康のため必要だと言ったから我慢しているらしい。味をどうにかして欲しかった。
と、ボロボロな斧を肩に担ぎながら、心の中で愚痴を言う。口に出したら他のゴブリン達から嫌われそうなので言えない。
なぜ、今、斧を持って移動しているかは、防壁を作るためだ。斧の切れ味が悪くてなかなか進まないが。欲しいものばかりだ。
防壁を建造する意見を出したのは自分だ。ゴブリン達の巣穴は崖にぽっかりと穴が口を開いているだけなので防御力は皆無だからだ。一応、四人くらい手伝ってくれるが、3日かけてやっと半分だった。まだ折り返し地点という現実に思わず遠い目をする。救いはこの洞穴は森の中にあるので運搬は短く済む。運搬には、ゴブリン達がいつも使うらしい頑丈な蔓で運ぶ。本当に頑丈なので、なにかに使えそうだ。
「あと半分だ、気合入れて、頑張ろう!」
防壁がまだ出来てない場所は仮として、先端を尖らせた木の棒を外に向け配置しているが、盾や鎧などがあれば一瞬で突破できそうだ。そもそも出入り口のため中央に空白地帯があるから意味があるとは思えない。それを言っちゃあお終いだが。
様々なゲームをよく遊んでいた前世での経験がいい感じに働いている気がする。まあ、机上の空論に過ぎないだけかもしれないが。
3日も続けていたらこれも一つの日常になる。もはや流れ作業となったがそれも唐突に終わりを告げる
あれは周り哨戒している二人のゴブリンだ。怪我をしている。片方の一人は、肘から先がない。しかし、洞穴で2、3日くらい休めば腕くらいは復活する。さすがは魔物。だが、これでも回復速度は魔物の中では遅い方らしい。
また、ワ―ピッグに襲われたか、それともあのオーク共か、などと考えていたのだが、事態はもっと深刻だった。
「冒険者達だ!!」
人間だ。元人間である俺はどうすればいい?
読んでいただきありがとうございます。




