暴君襲来 2
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっ!?!?」
僕の人生で1番驚いたのは多分この時だったんじゃないかなって思う。
完全な死角からの攻撃に狼狽える僕。何故、暴君から電話が来るんだ...全く検討がつかない。
「で...出たくない...」
出たら確実にめんどくさい事になる。だけど、無視したら確実に死ぬ!なるほど八方塞がりとはこういった場合に使うのか。いやぁ勉強になった。
現実逃避してる間も鳴り響く着信音。
覚悟を決め、スマホの着信音を押した。
「遅い!これからあんたの家行くから、お昼ご飯作って待ってなさい」
それだけを言い放ち通話は切れた。
?
は?
思考が止まる。脳がこれ以上考える事を拒否している。
家に来るとか言わなかったか??
!?
落ち着け、落ち着け僕。
そもそも僕の家がどこにあるのかわからないはず、きっと僕をビビらせて面白がってるんだ!きっと数分したらまた電話がかかってきて「本当に行くと思ったー?キモいンデスけどー!」みたいな罵倒がくるに違いない。なんかむかつくな。
まぁそれならこっちもどっしり構えて待とうじゃないか。やられっぱなしだと思うなよ!
約十分後、うちの玄関に佇む暴君を見て僕は自分の過ちを悔やみながら膝から崩れ落ちるのであった。