暴君降臨 3
「は?」
僕の意識とは関係なく喉から発せられた音。どうやら無意識で発動する能力に目覚めてしまったらしい。
やはりここは異世界だった....
うん、現実だわ。まごう事なき現実。いっそ異世界だったらまだよかったよ。だって目の前の現実受け入れたくないもん。
こっそりドアを開けたせいなのか、全裸女が食事に夢中なのか幸いにも僕の存在に気付いていない様子。今のうちに逃げなきゃ終わる。社会的にも色々終わる。
身体全身に緊張が走る、ここで音を立ててしまえば待つのは死。
なに簡単さ、今行った僕の行動の逆をすれば良いだけ。それ以上のことでもそれ以下のことでもない。
呼吸が乱れる、落ち着け、僕ならできる。
----深呼吸。不思議と数秒前までの緊張と焦りは消え去った。これが俗に言う無我の境地なのかもしれない。
さぁこんな現実とはおさらばだっ!
心に静かな炎を燃やし、僕は開けたドアを閉めるべく手をかけ、
バァァァァァァァァッン
おおよそドアを閉めるのに必要な力の数十倍の威力でドアを閉めてしまった。
どうやら僕が至ったのは無我の境地ではなく、単に精神が限界を迎えて最高にハイな気分に陥ってたようだ。
当然、教室にいる全裸先輩にも気付かれたわけで
「あんた、何やってんの?のぞき?変態じゃんキモ、通報するわ」
「そもそも学校で全裸になってる方が変態でしょぉぉぉぉ!」
僕の平穏な生活は一人の変態によって終焉を齎された。