暴君降臨 2
入学してから数日が経ち、クラスの中では早速グループが形成されていた。
美形の男女が集まったリア充グループや共通の趣味で盛り上がっているグループなど、それぞれ集団に所属し三年間有意義に過ごすんだろうね。
え、僕?そりゃあもちろん
ぼっち路線を全力疾走している最中だよ。
辛い。
♦♦♦
周りとの格差を一身に受けた僕は自己紹介も上手く出来ず、完全に孤立していた。
何故だかわからないけど僕以外のクラスメイトは同じ中学同士だったり、コミュ力が高いようで
僕以外とはすごくいい関係を形成してるみたいなんだよね、僕以外は。
休み時間、誰とも話すことなくただただスマホの画面とにらめっこしている時間は本当に辛い。
おかしいなぁ、この学校に入ったら輝かしい未来が待ってるんじゃなかったの?このままだと卒業待たずに人生終了のお知らせが来ちゃうよ?授業を受けながら僕の頭の中では人生終了のビジョンでいっぱいだった。
やはり成績優秀者が集まるだけあって授業内容は難しいのだが、元々勉強は嫌いじゃないのでその点は苦にならなかった。まぁだからと言って成績上位者には程遠いんだけどね...
キーンコーンカーンコーン
午前の授業が終わったことを告げるチャイムが鳴り、クラスメイトは一斉に学食へ移動しだした。
聖麗学園は学食が美味しいと評判でほとんどの生徒が学食を利用しているそうな。行ったことないんだけどね。ぼっち学食はさすがに心が持たないよ....
そんな僕を含めお弁当を持参している学生もいるので、教室にはクラスメイトが数人残っている。いつもなら自分の席で息をひそめながらお弁当を食べるんだけど...
今日はそんな気分にもなれないし余計なことを気にせず食べたい気分だった僕は、お弁当が入った袋を持って教室を飛び出し、学食とは反対方向の廊下に繰り出した。
♦♦♦
入学して数日経った今でもどこに何があるのかあまり把握していないのが災いして僕は未だ校舎を彷徨っていた。
こういった時ラノベや漫画なら真っ先に屋上という選択肢になるのだろうが、残念ながらうちの学校は無断で屋上に入ることが禁じられている。なんなら屋上に続く階段にセンサーが取り付けられており入ったら警報音が鳴り響くという徹底ぶりだ。
「はぁ...どうしよ」
情けない呟きが誰もいない廊下に吸い込まれていく。とぼとぼ歩いてくうちに僕は本当に人の気配がないことに気づいた。
「あれ?ここどこだ?」
どうやら学校を彷徨っていたら異世界に飛ばされていた....ということが現実じゃ起きないことは百も承知である。
実際に僕がたどり着いたのは学園の旧校舎だった。
誰もいない旧校舎で...とか何か起きそうな予感がするけど、僕以外本当に誰もいないから何も起きない。
屋上といい旧校舎といい、この学校はオタクが好みそうな設定をことごとく捨て去っている。つまり僕とは相性が最悪だ。ほんとなんでここに入学しちゃったんだろ。
「まぁ誰もいない方が気兼ねなくご飯食べれるしいいよね」
そう言って僕は適当な空き教室のドアを開け中に入った。
そして僕の目に入ったのは、一人生まれたままの姿で食事摂っている
この学園のマドンナ的存在-----水無梅子先輩だった。