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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:運命

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運命伐採19


 結婚式が終わり、王都に戻る魔女と術師。長男や長女、次男とその家族達とは呪猫の拠点で別れた。


「君はこれからどうするの?」


一緒に戻る三男に問う。


「宮廷で思う存分研究もできたし、次は総合組合(コレギア)と契約結んで錬金術師やっていくつもり。開業すんだよ」


三男は迷いなく答えた。きちんと先のことを考えているんだなぁと感慨深くなる魔女。(別に今までも考えなしだったとは考えていないが、実家(と宮廷)暮らしだった三男が自立して家を出ていくことに込み上げるものがあった)


「材料は冒険者達に集めてもらうよ。報酬はまあ、なんとかなるだろ」


そう三男は答える。思いの外考えていないかもしれない。次男が冒険者になると言っていたので、もしかしたら次男に依頼をすることもあるかもしれない。


「あと、俺達は結婚するつもりはない。そういう話になってる」

「そうなんだ」


魔女が一緒にいた人物について聞くと、三男はあっさりと答えた。


「まあ、気持ちが変わったら、その時はその時でまた連絡する」

「うん」

「このあと宮廷に行って、上司に辞めるって伝えてくる」

「そっか、気をつけてね」

「ああ、うん」


そして、三男は術師のほうを見た。


「父さんのおかげで色々と儲ける方法思いついたから、お礼を言っとく。ありがとう」

「えぇ。別に貴方の為ではありませんが。どういたしまして」


簡潔なやり取りではあるが、何やら必要な話は終わったらしい。


「落ち着いたら連絡よこすよ」

「うん、連絡待ってるねー」


そう言い、三男は自身の荷物の大半を収納鞄に詰めて宮廷の方へ向かって行った。


×


「みんな、旅立って行っちゃったねー」


 しみじみと魔女は息を零す。無論、とっくに成人しているのだから当然の話なのだが。


「なによ! わたしはまだ旅立ってないわよ。これからあなた達のお世話になるんだからね!」


そう、少女が頬を膨らませた。


「披露宴の間、おとなしくしてくれてありがとうね」


そう魔女が少女をほめる。


「当然でしょ。わたしは立場も雰囲気も弁えるんだから!」


そう、少女は胸を逸らした。


「ふん。只の人見知りで動けなくなっていただけでしょう。妻に必死に引っ付いて震えて居っただろうに」


そう、術師が鼻を鳴らす。


「こら! ねこちゃんそんなこと言わないの!」

「事実ですが」


魔女が(たしな)めるも、術師は冷たい態度を改めるつもりは無いようだ。


「む! そ、そんなことないわよ! し、知らない人の前でだって堂々とできるんだから!」


そう少女が言い返した時。


「ふむ。然様ですか……成らば。初等部にも一人で通えますね?」


術師が口元を歪めて嗤う。


「もちろんよ! ……って、『初等部』?」


「人の営みを知るために、まずは人としての常識を覚えねば。まさか、『できない』とは言いますまい?」


「~~っ! 分かったわよ! 行けばいいんでしょ!」


と言うことで、少女は初等部に通うことになった。


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