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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:運命

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運命伐採10


『あなた達、わたしがこの世界から出るための糧になって』


 星海の神は人々を見下ろし、言葉を投げる。これは『お願い』の様な言い方をしているが、決定事項なのだと声色から察せられた。


「断る!」

「潔いわね」

「まあ誰だって嫌でしょう」


若者達の堂々とした返答に、星海の神は一瞬面食らった様子を見せる。


『生意気。それに、「神殺し」って言った? できるわけがないわ。人間なんてみんなちっぽけな存在なのだもの』


星海の神は人々を嘲笑った。その様子を見て、魔女は『おばあちゃん』や『黒い人』よりも、どこか幼い印象を抱く。あの二人は、人間の言う言葉などほとんど聞かず、決定事項を淡々と進めるからだ。


「其れで。如何(どう)致します?」


 術師は黒髪の若者へ声をかける。


「どう、って何が」


星海の神(アレ)を倒さねば、何も解決しませぬ」


「そんなの分かり切ってる!」


「手を組みましょう」


「急に何を」


「私の目的は小娘の危険を排除すること、貴方の目的は世界を元に戻すこと。結局はアレ次第なのですよ」


星海の神を見つめながら、術師は言う。その言葉に嘘を感じなかったので、黒髪の若者は頷いた。


「わかったよ! 今回だけだ!」


「おや連れない。私、お前達の手助けを何度もしたでしょうに」(ねこちゃんとか色々として)


「ぐ……」


「みんなを傷つけちゃ駄目だからね、ねこちゃん!」


むっとした顔で魔女が注意をすると


「はい、はい。重々承知しておりますとも、小娘」


嬉しそうに術師は笑みを浮かべた。


「『宣告。紡げ糸を、魂の欠片を。我が糧とせよ』」


聞いたことのない魔術式だ、と魔女が思う間に。


『な?!』


突如、星海の神の胸元に巨大な穴が開いた。星海の神は酷く動揺している様子だ。


「……きみ一人で十分じゃない?」


高威力の魔術を見、黒髪の若者が呟くが。


「何を仰る。貴方方『樹木の破壊者』が居てこその物種。私一人では運命が足らずに一瞬で終わるわ」


吐き捨てるように、術師は言う。


「運命?」


「私はどうしようもなく『悪性』。故に運命は私を選ばぬ。そう言う事で御座います」


「そうなんだ?」


「此処は『正しい世界』故に、力では無く正しき運命を持つ者が必ず勝つ理不尽な世界ですので」


「ふーん」


ともかく、術師一人では絶対に勝てないらしい。『正しき運命』を持つ黒髪の若者達や魔女が居るから、どうにかできる……と術師は考えている様子だ。


 聞いていた魔女もよく分からなかったが、夫が昔から『自分は運が悪い』と言っていたことを思い出す。


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