知恵伐採13
「君達は『樹木の破壊者』で間違いないかな」
そう男性が問い、その言葉に悪意を感じなかったので若者達は頷いた。そうすると、「良かった、合っていたようだ」と男性は安堵した様子を見せる。
「僕達は『偽王国』の人に会って話をしようと思っています。この国で良い統治をしているなら、話が通じる人のはずだと思って」
素直に黒髪の若者は目的を述べる。それを聞き、男性は少し驚いた様子を見せた。
「だが、やはり樹木を探しているんだな」
と男性に言われる。黒髪の若者は素直に頷いた。
「さっき言った通り、僕達は全ての巨大樹木を破壊するつもりです。この国も、例外じゃない」
「やはり、破壊しにきたようだな。……知っての通り、この国での樹木は資源なんだ」
男性は少し、声を低くした。
「樹木から発生する鉱物や資源が、この国を発展させている」
その声色はどこか慈愛のようなものを感じる。
「この国が発展するには、この樹木はどうしても必要なんだ」
「だけど、樹木は破壊しなければいけない。僕はそう言われているし、それを実行するつもりなんだ」
懇願するような男性の言葉に、黒髪の若者はきっぱりと告げた。
「(……『そう言われている』……って、誰に?)」そう、魔女は内心で首を傾げるも、首を突っ込める気配じゃないので黙った。
「やはり、そうなるか。……残念だが、この国の繁栄もここまでだ」
男性は声を落とした。落胆しているようだ。だが、そうなるだろうと予想していたようでもあった。
「どうやって、樹木もなくなった世界でこの国の形を維持していくか、考えなければならない」
呟き、男性は顔を上げた。どこか憑き物が落ちたような、すっきりした様子だった。
「ひとまず、君達の格好は目立ちすぎる。この国に馴染む様な格好にならないと」
若者達を見、「君達、変身魔術は使えるかな」と問いかける。頷き、変身魔術で変身する若者達。
魔女の格好は隊商長に変化させてもらった。
「わーすごい」
「宮廷魔術師の力、舐めないで欲しいですね」
目を輝かせる魔女に、隊商長はふん、と得意気に息を吐く。
「一応、あんたに似合うようにデザインしたつもりですが……まあ、及第点でしょうか」
「動きやすくていいと思うけど?」
「まあ、あなたはそう言うでしょうね」
「似合い過ぎるとそれはそれで別の問題が起こりそうですから、このくらいが妥当だと思うんですよね」
そう言い、次は自身を変化させる。服を上手く着こなし、鳥のような要素が見え難くなっている。




