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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:知恵

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知恵伐採12


 巨大樹木の破壊を反対され戸惑う若者達の元に、男性が一人現れた。体格と声色からして明らかに男性だ。


「こっちだ。ついてきてくれ」


 言われて、若者達は迷わずその声の方へ向かって行った。仕方ないので魔女と隊商長も後をついていく。


「君達の味方だ。安心して欲しい」


その男性は黒い外套を身に纏っていた。顔は詳しくは見えないが、髭を生やしていることだけは判別がついた。


 「安心のために正体を見せて欲しいんだけど」と黒髪の若者が言うも「やはり、周囲にバレるとまずいんだ」と言い、外套を脱ぐことは断った。


 ただ、魔女は男性に悪意がないらしいことだけは理解した。それを他の若者達も理解したのか、深くは言及しなかった。

 ただ、白髪の若者は警戒心を強めている様子だった。


「どうしたの」


こっそりと、黒髪の若者は白髪の若者に問う。


「……いや。一体どういうつもりだと思ってな」

「知り合い?」

「それほどでもない」

「何か教えてくれる?」

「……しばらく様子を見ておく。ボクが警戒していくから、お前達は気にしなくていい」

「うん、分かった」


あからさまにくっついて内緒話をしていたが、魔女(と他の若者達)は何も言わなかった。男性も言及はしない。自身が怪しいのは十分に理解しているのだろう。


「この国の者達も、そんなに悪いやつらではないんだ」


 そう、やや困った様子で男性は告げた。その声色は申し訳なさそうで、どうしてもそんなに申し訳なさそうなんだろう、と魔女が疑問に思うほどだ。


「自国の発展を大きく支えてくれた巨大樹木だったから、失ってしまうのを怖がっているだけなんだ。どうか、許して欲しい」


そして、男性は頭を下げた。その様子は、『この国の民を嫌わないで欲しい』と言いたげだ。


「そう言われても」

「まあ、死にそうな目に遭っているわけではないですからね」

「怖い目には遭いかけてたけれど」


不満げな魔術使いの若者と、それを取りなす聖職者の若者。魔術使いの若者は納得はしていなかったが、引き下がる。


「みんな、この国を守ろうと必死なんだね」


そう黒髪の若者が言うと「分かってくれると助かる」と男性は安堵した様子を見せた。


「でも、これだとあんまり国の中を堂々とは歩けないけど。どうするの?」


そう、魔女が男性に問う。


「裏道があるんだ。そこを通れば、表を通らなくともどこへだって行ける。むしろ、渋滞していない分通りやすいはずだ」


そう、男性が教えてくれた。裏道は郵便や配達の者なども使う、特殊なショートカット用の道のことらしい。


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