表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:理解

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

557/600

理解伐採15


「この霊峰、てっぺんまで登らなきゃいけないのかなぁ?」

「さすがにそれはめんどくさいな」

「どこか、移動用の魔術陣とかあるんじゃないの? この霊峰って観光資源なのよね?」

「じゃあ、樹木以外の魔力の気配を探さなきゃですね」


 黒髪の若者、白髪の若者、魔術使いの若者、聖職者の若者が口々に呟く。


「でもこの辺り、魔力の気配がすごく濃くて探知とかやりにくいんだけど……」


魔術による探知を検討したらしい、魔術使いの若者が眉を寄せた。


「じゃあ、占いやってみようか」

「占い?」


 次女の唐突な言葉に、若者達は首を傾げる。


「うん。大丈夫。簡単なやつで運命を掴むだけだから」


「また運命って……」


だが次女は気にしていない。次女の言葉に、魔術使いの若者が困った表情になる。


「ほい。……うーん、こっちか」

「どうやって調べたの?!」


ぽい、と枝を投げ、次女はすぐさま方角を判断した。それに黒髪の若者が目を丸くする。


「運命を掴んだだけだよ。まあ、感覚的なものだから、占術師や魔術師とかじゃなきゃ分かりにくいかもね」


次女は涼しい様子だ。家に居た頃もそんな感じだったな、と魔女は懐かしい気持ちになる。


「……かなり特殊なことしてるわよ、その人」

「そうなんだ」


 顔をしかめた魔術使いの若者に、黒髪の若者と他の若者達が頷いた。


「道具を運命に乗せれば、大体運命を掴むことができる……と、あたしは思ってるんだけど。これ、あたし独自の感覚らしいんだよねー。呪猫当主(おじさん)にも『其の才覚は大事にしなさい』って言われてるから、別に悪いことじゃないんだと思うけど」


言いつつ、次女は魔女の持つ札へ視線を向ける。


「ともかく、運命がこっちだって言ってるから、こっちに進もうー」


「信じて大丈夫?」

「まあどこに向かうか決まってないですし」

「したがってみるのもいいんじゃない?」


と言うことで、従うことにした若者達。それに合わせて魔女も歩き始めた。


「次はこっちー」


「すごい道を通っていくわね」

「でも、不思議と魔獣や野生の獣とは出会いませんね」

「すごいねー」

「すごい違和感だな」


表情の険しい白髪の若者に、黒髪の若者は首を傾げる。


「違和感?」

「そうだ。薄い膜の中を通っているかのような違和感」


黒髪の若者の疑問に、白髪の若者が答えた。


「うん。だって、樹木の根っこの上を通ってるからね」


それに、次女が頷く。


「樹木の根?」


訊き返す黒髪の若者へ、次女は視線を向けた。


「樹木はきっと、分かってるんだよ。君達が樹木自身を助けてくれる存在だって」


「巨大樹木を、助ける?」


「だって、樹木自身は望んでないっぽいもん。こんなに影響力を強めてしまったこととか、意図しない相手に主導権を握られていることとか」


「他の樹木もそうだったのかな?」


「さぁ? 他の樹木は知らない。少なくとも『この樹木は』って話だから」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ