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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:理解

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理解伐採10


 そうこうしているうちに、『花の島国』が見える頃合いになってきた。


「見えるかな。ここから見える()()()()()()が」


そう友人Bに言われ、魔女と若者達は双眼鏡や魔力視などを利用して『花の島国』の方を見る。すると


「……あれ、黒色だ」


黒髪の若者が零した。確かに、見えた植物の葉の色は黒色だ。何か成分のせいで色がついた、とは言えない色の着き方をしている。なんと言うか、色味がないのだ。墨のような、黒。


「そう。これは巨大樹木に支配された証拠。もう少し前までは普通の植物もあっただろうけれど、数年の間ですっかりと黒い葉に覆われてしまったんだって」


友人Bは教えてくれた。


「光合成とかどうなってるんだろ」


と魔女が呟くと


「気にするところはそこなの」


魔術師の若者が呆れた眼差しを向ける。


「呼吸の異常についてはどうもなっていないから、光合成はしているんじゃないかな? とにかく、樹木の影響で黒くなっているらしいよ」


友人Bがそう返す。思わぬところで答えを得た。


「どうして『樹木のせい』ってわかるの?」


「『この国に生えた樹木の葉の色が、黒だったから』だって」


「なるほど」


 問う魔女に、友人Bは返す。


「確か、幹や枝は真珠のような白さと輝きを持っていたそうだよ」


「へぇ。じゃあ、そこらじゅうの植物もそんな感じになってるんだろうね」


「そりゃあ、巨大樹木の支配されてるらしいからね」と友人Bは相槌を打つ。


「黒い葉と真珠のような木肌……こんなご時世じゃなかったら結構売れただろうにねぇ」


「売れるかな」


「まあ、なんか国から離れたら元の植物に戻っちゃうらしいからあんまり期待はしてないよ」


「巨大樹木から直接取れる枝や葉っぱが『本物』なんだってね」


「ふーん」


やや上の空な返事の魔女に「興味なさそうだね」と友人Bは苦笑した。


「そういえば、『花の島国』の巨大樹木って『山』に生えていたんだって。しかも霊峰」


 魔女の次女が零す。


「霊峰?」


「そう。なんと言うか、『花の島国』で有り難がられてる山」


聞き返した黒髪の若者に、次女は相槌を打つ。


「その言い方、ちょっと失礼じゃない?」


「うん、大丈夫。『花の島国』(そこ)ではそう言わないから」


「そういうものですかね?」


怪訝な表情をした魔術使いの若者に、次女は軽く返す。それに聖職者の若者が眉尻を下げた。


「まあ。実際、すごい力が宿ってるらしいんだよね。そもそもが山だし」


「山だと何かあるの?」


問う黒髪の若者に、次女は黒髪の若者の方を向いた。


「え、だって地面のそもそもが『黒き神』の身体じゃん。山ってことは、身体の成分超多めってやつでしょ?」


「確かにそれはそう」


「で、樹海に覆われているらしいんだよね」


「樹海?」


「そ。『天の神』の訳御霊、とも呼ばれる植物がびっしり」


「へぇー」


なんだか、実に霊験あらたかそうである。


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