理解伐採3
今から向かう『花の島国』は不思議な雰囲気の国だそうだ。魔女と若者達、隊商長を座席に座らせ、友人Bは自身が集めたらしい情報を伝えてくれる。「交魚を利用してくれるおまけだよ、当主の許可も得てる」だそうだ。
「なぜか知らないけど、『転生者』や『転移者』が好む国だっていうね」
友人Bはそう言った。
「写真ある?」
問う黒髪の若者に、「あるよ、ほら」と友人Bが雑誌を見せてくれた。それは山や川、どこかの建物や不思議な赤い門など、さまざまな風景の写真の本だ。
「わぁ、日本みたい」
「ちょっと違うけど」とは言いつつ、黒髪の若者は歓声を上げる。
「二ホン? この国に訪れる転生者や転移者も言うらしいね、それ……ってことは、君は転生者だったか」
ふーん、と友人Bは頷いた。やや興味が混ざった声だが、それには悪意は感じられなかった。
「……あ、」
黒髪の若者はやや慌てた様子で口に手を当てる。『しまった』と言いたげであった。だが魔女も他の若者達も知っていることである。今更隠すようなことかな、と魔女は内心で思った。
「いや。言わない方が良かったよ、昔は。……高く売れるからね。だけど、こっちはどうでも良いから何もしないさ。約束するよ」
「うん、ありがとう」
だが、友人Bの事情ではそうでもないようだった。友人Bは商人として何もしない、と答えた。
言われて、魔女は巨大樹木が生えた頃に『転生者』や『転移者』を利用して樹木の攻略をしようとしていたのだったか、と思い出した。
そして、今は大聖女と呼ばれるその2が転移者だったらしいことを思い出す。(実は、彼女にも巨大樹木探索の声が掛かっていたのだが、拒否した)
「まあ、とにかく『花の島国』は独特な服装の国だから。国内外者の見分けはやりやすいよねぇ」
「国防には役に立つよね」と友人Bは感心している様子だった。
「あまりにも多くの転生者や転移者がこの国に訪れるから、転生者や転移者の文献とかが結構集まっているらしいね」
その言葉に若者達(特に黒髪の若者)が興味を示した。「『花の島国』に惹かれる『転生者』や『転移者』だったら、同じ故郷の人が多いかも」だそうだ。
「異世界についての研究とかもそれなりに進んでるっぽいよ」
ついでのように友人Bは答えた。
「もしかしたら、思いもよらない知識とかもあるかもね」
つまり、新しい薬の知識が得られるのだろうか、と魔女は思考してみる。それなら、異世界の知識に興味が持てるかもしれない、と思ったのだ。




