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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
『奈落』

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『奈落』8


「そういえば。君達は記憶を取り戻したって言ったけど、全部戻ったの?」


 魔女はふと思い出したことを、その3とその1の二人に問うた。


「まだちょっと忘れてる事があるかも」

「俺は思い出したぜ。聖剣も取り戻したし、まあ大体は問題ねぇ」


 その3はあまり深刻でなさそうな表情で現状を語り、「魔術師の男(あいつ)が敵にならない限りは、だが」とその1はやや険しい表情をする。


「今のところ、全敗してるもんね」

「うるせぇ。次は勝つ!」

「次があるかどうか」


 その3の軽口にその1がやや苛立って言い返した。だがその3は全く意に介してない様子で肩を竦める。


「で、『用事』が何って言ってた?」


「うーん、何も。ただ『野暮用がある』としか。なんかわたしの近くで英気を養ったって感じ」


 魔女は不満気な様子を隠さず、その3に答えた。


「まあわたしがそばにいるんだから元気になるのは仕方ないと思うんだけど」


魔女の魔力は回復に向いている魔力だ。そのため、巨猫が回復効率を考えて魔女の側に居たのは頷ける。


「何それ。利用するだけ利用して、あとはポイ、みたいな感じ」

「ねー、酷いよね」


その3も険しい情報を作って、魔女の意見に同調した。


「……なぁ、それって使い魔の猫の話なんだよな? お前を捨てて居なくなった男の話じゃあねぇんだよな?」


怪訝な表情でその1が言葉を挟む。


「本当に酷いと思う。……『また逢える』とは言ってくれたけど、『帰ってくる』とは言わなかったんだもん」


「……それは大変だねぇ」


「なあ、俺のこと無視してねぇか?」


 頬を膨らませる魔女に、その3は深く頷いた。


「……で、どうするつもり?」


やや表情を真面目な風に戻して、その3は冷静に魔女に問う。すると魔女は


「お家に帰ってきてもらうつもり。無理やりでも連れ帰ってやるんだから」


そう、力強く答えた。彼が居なくなってから、答えは初めから決まっていたのだ。


「そっかー、頑張って。僕は応援してる」


にこやかに、その3は頷いた。


×


 それから魔女とその3、その1は武器を受け取った若者達と再会する。若者やとは自身達の武器が強くなったことを喜んでいる様子だ。

 魔女の三男(と磨羯宮室長)の素材加工の技術が良いものなんだな、と何となしに思う。実際のところ、かなり良いのだが魔女は詳しくはわからない。


 こうして、若者達も次の国へ行く準備が整ったようだ。


 その後、隊商長から「次の国へ渡る準備ができました」と言われてその場所に向かう。


と。


「あ、やーっと来たな」


そこには友人Bが居たのだった。


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