表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:慈悲

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

531/600

慈悲伐採17


 突然のことで若者達が呆然としている魔女に『『実』を回収なさい。此の儘では樹木が育ち切りますよ』と巨猫が囁き、魔女は『実』を探しにその場を離れる。


「……あった」


 最上階の奥の庭、開けたそこには青色に輝く実があった。

 やはり色は樹木の葉に似ているようだ。

 青色で、不思議な煌めきを持っている。

 木の実は遥か高い場所にあった。


 そのはずなのに、気付けば手の届く位置にある。


 思わず、魔女はそれに手を伸ばした。


 ぷち。


 手のひらの上で木の実の千切れる音がして、手元に木の実のずっしりとした重みがかかる。

 その瞬間、木の実が消えた。


「わ、」


樹木が震え出す。

 魔女は急いで若者達の元に駆け出した。


×


 周囲から、樹木の力が消えていくのを感じる。

 その最中を、枢機卿の魔術により10層の外に出た。


 外には消えゆく樹木や壁をみ、嘆く国民達が居た。


「本当に、この巨大樹木って壊して良いものなのかしら」


ぽつり、と魔術使いの若者が呟く。見ると、魔術使いの若者と聖職者の若者が、不安そうに消えゆく樹木を見ていた。


 黒髪の若者は「壊していいものだよ。だって、人が閉じ込められているし、元々は世界になかったものなんだから」と、他の若者達を励ましていた。


「樹木を失った世界で、アイツらは自分で考える力を取り戻さなきゃいけねぇんだよ」


そうその1もなんかカッコつけて言っている。その3が「木刀だからあんまり格好つかないね」と茶化していた。


「そうですね。人は『考える葦』だと、どこか転生者の手記にも書かれてありました。葦とは弱々しいものの例えだそうです」


と、枢機卿がその1に同意する。


 いまだに人々は支配の象徴だった『慈悲の王』が居なくなったことにより混乱している。その中、立ち上がる者が居た。


「おや、これは僥倖です。彼は確か元王族の方ですよ」


そう枢機卿が教えてくれる。


「あ、最下層で会った人だ」


 黒髪の若者が呟く。どうやら最下層で人々に物を教えていた人が、王族の者だったらしい。


「アンタの言った通りに、一応『種』は蒔いといたからな。俺の仕事は終わりだ」


その1は元王族の者に声をかけた。その1の『やること』とは元王族の者からの頼まれごとだったらしい。それに対し「とても助かったよ」と元王族の者は礼を述べている。


「君達も、ありがとう。この国の壁を破壊して、『慈悲の王』を退かしてくれたのだろう」


「何も礼ができなくてすまない」と元王族の者は申し訳なさそうにしていたが、若者達は気にしていない様だ。


「周囲から望まれたら再び王族へと戻るけれど、今は国を立て直すのが先だ」


そう、元王族の者は言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ