表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:峻厳

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

504/600

峻厳伐採9


「たのしそーだね、『呪う猫』」


 とある場所で『黒い人』は『呪う猫』に遠隔で話しかける。『呪う猫』は大きな反応は示さないが、『それが何か』と言いた気な気配を感じた。『(感情)』を入れてから随分と素直になったものだ、と『黒い人』は内心で呟く。まあ、彼は『命の息吹』の前では以前からそれなりには素直だったけれど。


「いいのいいの。推しが仲良くしてるの、見るの好きだから」


そう答えると、彼から呆れたような気配を感じた。呆れられたとしても『黒い人』自身は別に気にしない。だってすべてを『愛』で受容する神なのだから。さすがに行き過ぎると『白い人』(むこう)から怒られてしまうのでほどほどにしようとはしているが。


「『命の息吹』が『実』、『呪う猫』が『殻』を集めてるけどさ、ほんとうにそれで大丈夫だと思ってる?」


 実は樹木の『実』は魂が妖精である者しか回収できない。だから、今まで『命の息吹』以外に樹木の実を回収できた者は居なかったのだ。反対に、樹木の『殻』は魂が精霊に近い者でないと回収できない。それぞれの理由は『神に近い魂だから』だ。

 動物や人間の魂は『肉の殻』(肉体)との繋がりが深い。だから、すぐには魂が発露できない。だが妖精や精霊の魂は肉体との繋がりが薄いために奇跡との親和性が高いのだ。


 ちなみに樹木の発生による『魂の発露』によって魂が妖精に近い者達は皆、樹木に飲み込まれてその中で眠っている。『樹木の勇者』達の活動によって解放されている者もいるが、一度樹木の中で眠った彼等は魂の発露は修復されている筈。なので、魂と肉体との繋がりは通常に戻っている。


「答えないってところで粗方予想は付いてるのだけれど」


 きっと彼は文字通り()()()()()『命の息吹』の不安を払拭しようとしているのだ。彼女が長生きするために、余計なものを排除するために。


「別に、私と白い人(むこう)は、大事な娘である『命の息吹』が無事ならまあいいんだけどさ」


本当はそうでもないのだけれど。その思いは口には出さないでおく。それで動揺するとは思っていないけれど、だからと言って何かが変わるわけでもないからだ。これでも『命の息吹』の身内として、その伴侶である『呪う猫』には目をかけているつもりだ。(『白い人』(むこう)から「やり過ぎです」と注意を受けるくらいには。)


「『呪う猫』、きみは『命の息吹』の大事な人だってこと、忘れちゃダメだからね」


 そう、声をかけてみたけれど、やはり『呪う猫』は何も分かっていないのかもしれない。


「(……まあ、最終的に『命の息吹』がどうにかするだろうし)」


()()()()()()()()()()()()()()()()()。だけれど、きっと大丈夫。そう、『黒い人』は思う。その勘は外れたことはないのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ