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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:壮麗

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冬を越す話

突然ですが、個人的事情で半年程度休載致します。


私生活が多忙になるので自身の体調管理のためです。

本音は別の方を休んでこちらの連載を続けたいのですが。


「冬がやってくるので、この国で冬を越すと良い」


 そう、教皇に勧められたため、魔女と若者達は『美の国』で冬を越すことになった。どうやらこの国より北側の国々は冬が厳しく、準備もなしに向かうのは危険らしい。


 冬と言えば、魔女達の故郷では愛の日を越えたあたりから吹雪が酷くなり外に出られなくなる。出られるにしても風が強すぎて視界が雪に塗りつぶされてしてしまうし、いつ魔獣が出てくるかもわからず大変危険なのだ。この『美の国』は魔女達の故郷の国よりは南側なので、きっともう少しましな冬を過ごせるだろう。


「外の国で冬を超すの、初めてだ」


宿の談話室で外を眺め、魔女は呟いた。「僕達もだよ」と若者達も同意する。


「ねこちゃんはどう?」


と魔女は巨猫を撫でるが「そういえばねこちゃん、しばらく外の国に居たんだったね」と気付いた。


「いっぱいお話聞かせてよね。わたしも話すからさ」


そう巨猫に話しかけると喉を鳴らして返事をしてくれる。

 暖かかくて柔らかい巨猫の毛並みはずっと撫でていたくなる。指通りが滑らかで良い匂いなのだ。二人きりだと匂いを嗅がせてくれるが、ここは外だし他人(若者達)もいるので魔女は自重した。


 それから数日、巨猫が居ない日が数日あったりお陰で魔女が大泣きして大変だったりするのだが、詳細は省く。


 (ひび)の入った腕輪に関しては人型に戻った夫と共に、街外れの古びた教会に訪れて再度結び付きの儀式を行うことにより再び繋げることができた。ただ、これでもまだ油断ならない状態らしいので、魔女は気を付けねばならないらしい。


×


 そして『外に出られる冬』に魔女と若者達は感激する。「退屈しないで済むよ!」「家に篭らなくて良いのね、魔導書も買えるわ!」と若者達は大はしゃぎだった。『美の国』が故郷である聖職者の若者も「こうして冬に外へ出られるのは久々です」と懐かしんでいる。


「じゃあねこちゃん、一緒にお出かけしよっか」


と魔女が上機嫌に巨猫を外に連れ出すことも多々あった。

 そうして巨猫と過ごす内に、魔女は10代後半の姿になっていた。わずかな変化なのであまり気付かれなかったが、偶然出会った隊商長に「また大きくなりましたね」と言われて発覚した。


「……もしかして。ねこちゃんと一緒に過ごすと元の姿に戻るのかな」


 与えられた部屋で、巨猫を撫でながら魔女は呟く。


抑々(そもそも)、何故貴女が縮んだのか私は気になりますが」


撫でられながら巨猫は返した。大分落ち着いた様子は見せるが、絶対にお腹を撫でさせてくれないことが魔女は不満だった。


「なんでかな?」


縮んだ理由は魔女も知らない。だが、呪猫当主が述べたように魂の発露が原因ならば、魔女は妖精になってしまうところだったのだろうか。


「貴女が元の姿に戻る要因が私の魔力に有る成らば。私の魔力を塗れば宜しいのでは」


するり、と巨猫が魔女の撫でる手から抜け出し、椅子に座る魔女に()し掛かる。そうして顔を擦り付け魔力を塗る。


「わっ! なにするの?!」


そうしている間に魔女は巨猫の魔力(まみ)れになった。


「どうしたの?!」


と騒ぎを聞き付けてノックもなしに黒髪の若者が部屋に入ってきた。後に魔術使いの若者と聖職者の若者が続く。

 そして、巨猫の魔力塗れになった魔女を見つけた。


「…………ええと。…………そういう趣味?」

「お邪魔、でしたかね」


引いた顔をする魔術使いの若者と聖職者の若者に、魔女は現状を思い出して赤面する。


「ま、まって! これ、不可抗力! ねこちゃんが勝手にやったやつ!」


引く周囲に対し、「? どういうこと? 敵襲じゃないの?」と黒髪の若者は不思議そうに首を傾げただけだった。黒髪の若者は意味を知らないらしい。


「その割には嫌がって無いじゃない」

「慣れてる、ような雰囲気ありますよね」


ジト目(というか呆れ顔)の若者二人に


「よ、よくあったからね……」


結婚生活中には。そう内心で言い訳しながら、魔女は力無く零す。

 根本の原因である巨猫はなんともない顔で(まさに『自分はただの獣です』と言いた気に)魔女に引っ付いて居た。


×


 それから、春が来た。


「『春来の儀』しなくても、春が来るんだね」


 花の香りの混ざる空気に、魔女はほう、と溜息を吐く。


「似た儀式をしているようですが」

「『黒い人』の気配がしたけど、もしかしてそれ?」

「そうやもしれませぬな」

「興味なさそうだね」


春の到来とともに、魔女と若者達は『美の国』を出発する。次に向かう国は『義の国』だ。


×他人の魔力を体に着けるということについて×


魔力を塗り付ける=(対象)は自分のものであると所有欲を満たす(マーキングをする)ということ

誰にも渡さない、手放すつもりは毛頭も無いのだという証明。


そもそも魔力は基本的には手にある放出器官から放出されるものなので、


自身以外の魔力が付いている=その個所を自身以外の素手で触らせた


という意味を持つ。なのでかなり親しい中でないと許されない行為であるのは語るまでもない。


素手で体を触られるような関係=かなり親密である

→他人の魔力塗れなのは交合の後(の可能性が高い)


的な意味合いがある。呪猫で兄上に言われた「先まずは其その魔力でも洗い流して来なさい。自身以外の魔力に塗れた姿、婚姻前だと言うのに見間違われても堪らぬだろう」の指した意味がこれと言う話。


詳細はこちら↓ (必読でない)

https://x.com/sinojijou/status/1579808149464559617

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