栄華の終わり
5番目が大量に魔獣を生み出す。
生み出した魔獣達は魔女と若者達を襲い、魔女と若者達は謁見の間から退避せざる得なくなったのだ。
そうして、魔女達は王宮の中を逃げた。
その途中、魔女は中庭で何か輝くものを見つける。
「……木の実だ」
そこには緑色に輝く実があった。
どうやら色は樹木の葉に似ているようだ。
緑色で、不思議な煌めきを持っている。
木の実は遥か高い場所にあった。
そのはずなのに、気付けば手の届く位置にある。
思わず、魔女はそれに手を伸ばした。
ぷち。
手のひらの上で木の実の千切れる音がして、手元に木の実のずっしりとした重みがかかる。
その瞬間、木の実が消えた。
「やっぱり、消えちゃった」
不思議そうにしている合間に、王宮が震え出す。
気付けば、魔獣達は姿を消していた。
「何をしたの?」
魔術使いの若者に声をかけられる。
「……よくわかんない」
魔女は首を傾げた。あの輝く木の実を見つけると思わず手を伸ばしてしまうのだ。
そして木の実はいつの間にか姿を消しているし。
「とにかく、魔獣が消えた今ならまた謁見の間まで戻れますよ」
聖職者の若者が声をかける。
それに我に返った若者達と魔女は謁見の間へと戻る。
道中で警備兵らしき者達とも打つかったが、若者達にとって大した障害ではなかった。
×
魔女と若者達が駆け付けたときには、5番目は気を失ったらしい王妃を抱えて呆然としていた。
謁見の間は今にも崩れ初めており、美しかった内装が台無しになっている。
「なんだ、そこのちんちくりんは」
5番目は魔女を睨み付けた。
「樹木の魔力を帯びてやがる。……ただの人間じゃねぇな」
その言葉だけを残し、王妃を抱えたまま姿を消す。
×
崩れて行く王宮の中を若者達は走った。そうして、逃げ遅れた人達を救おうとしていたのだ。
実際、様々な場所に逃げ遅れた人達は居た。その人達を若者達は避難させる。
そうして、王宮内に残る人や生き物の気配がないことを確認して若者達と魔女は王宮を出た。それを待っていたかのように王宮は崩れてしまう。
「……どうしましよう、王宮って結構な文化財じゃなかった?」
崩れ落ちた王宮を見つめ、魔術使いの若者は青ざめた。
「弁償しろと言われても、何もできませんよ」
聖職者の若者も困ったように呟く。
「大丈夫だよ」
だが魔女は明るく答えた。「どうして」と若者達は魔女に視線を向ける。
「だって、文化財には修復の魔術式がかけられてるから」
若者達は知らないようだが、数十年前から重要な文化財には破壊されても元に戻るように修復の魔術式をかけるよう定められているのだ。
そして今回の王宮も、魔女が確認した限り修復の魔術式が至る所にかけられていた。
「だから、大丈夫」
若者達を安心させるように告げると、心の底から安堵したように若者達は息を胸を撫で下ろす。




