勝利伐採6
どうやら『愛の国』は容姿が重要視される国のようで、隊商長は
「まあ普通くらいの対応はされるんじゃないですか」
と魔女と若者達を見て告げる。
容姿を重要視される話で、魔女は友人Aの事を思い出した。所謂クール系の顔立ちの友人Aは可愛い主義である生兎ではやや特異な容姿をしている。なので、家族以外にはあまり歓迎されていなかった、という話だ。友人A自身はあまり気にしていない様子ではあったが、生兎の土地自身のことは手放しで好んでいるような様子はなかった。
「……あの子、元気にしてるかな」
確か王都の方で(大聖女であるその2から直接支援を受けながら)孤児院を経営していると聞いていたが。
「大聖女から支援を受けた孤児院なんてそう数はないですし、大聖女が支援しているんですから不自由はしていないとは思いますが」
隊商長は魔女に告げる。現状の隊商長は長らく祖国に帰っていないので、実際の友人Aがどのような生活を送っているかなど知らない。魔女の方も小さくなって軍医中将として表立って活動できなくなってから街に出る頻度は下がっていたという。
ただ、隊商長は友人Bから友人Aについての近況をたまに手紙で貰っていたので、そう大変な目には合っていないだろうとは思っていた。
孤児院の話をした時に
「僕も孤児院の出身なんだ」
と黒髪の若者が反応する。魔術使いの若者と聖職者の若者は違うそうだ。
そして黒髪の若者は「僕の居た孤児院も大聖女様の支援を受けていたよ」と答える。事実、魔女の助けた『村の生き残り』である黒髪の若者は『魔女』経由で友人Aの経営する孤児院に送られたので、黒髪の若者が所属していた孤児院は友人Aの孤児院だ。(だが魔女と黒髪の若者は互いの詳細を知らない)
「きみの居た孤児院のお話、聞かせてくれる?」
魔女は黒髪の若者に頼む。すると快く快諾してくれ、魔女はしばらくの友人Aの話を聞くことができたのだった。
「僕のいた施設は王都にあって、時々、交魚の人……魚のお姉さんからお魚とか貰ってたんだ」
「お魚?」
「そう。売れないやつとか色々。おもちゃや道具とかもいっぱい貰ったよ」
どうやら思った以上に関わりがあったようで、ついでに友人Bや大聖女もといその2の話を聞くこともできた。
「魚のお姉さんは孤児院で使えそうなシーツや包帯、薬とか食材とかもくれたけど、『質が良すぎるわ』って院長さんに呆れられてたことも多かったかな」
黒髪の若者から思い出話を色々と聞く。怒られたこととか美味しかったものとか、大聖女がたまにきてくれた話などだ。
魔女は自分の知らない友人達の話が聞けて良かったと満足する。それに黒髪の若者自身も友人Aや友人B、その2のことを大事に思ってくれているようでうれしくなった。




