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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:栄光

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栄光伐採6


「何処へ行こうというのです」

「ひっ?!」


 そこに男が立っていた。薄暗くてよくは見えないが、やや苛立ちを滲ませているように感じる。


「貴女は私からは逃れられぬ」

「やっ!」


即座に右腕を捕まれ、引き寄せられた。魔女を抱き止め、掴んだ腕を持ち上げる。


「……矢張り、縁が切れかけておる」


魔女の右腕に在る腕輪を見つめ、残念そうな様子だ。


「縁ってなに!」


振り払おうとするも、できない。痛くはないが強く掴まれて、しっかりと固定されている。


「予想()りも早い。急がねば」小さく呟き、偽王国の騎士は魔女に視線を合わせて屈む。


「小娘。此れを見なさい」


そうして、魔女の右腕を掴む自身の左腕の袖を(まく)って見せた。そこには白銀に輝く腕輪が在った。


「……それって」


魔女の腕についてる腕輪とよく似たものだ。ただ、それは魔女のもののような深い緑色の装飾ではなく、明るい赤色の装飾が施されていた。


 その赤色は、どう考えても魔女の魔力と同じ色だった。


「ぐ、偶然、だよね?」


其処(そこ)(まで)言われますと、流石の私も傷付きますが?」


静かに言い返す。そのまま偽王国の騎士は魔女を抱き寄せた。そして


「此れは、『結婚腕輪』で御座います」


言い聞かせるように、ゆっくりと魔女に告げる。魔女の腕輪に触れ、愛おしそうに指先で撫でた。


「……まさか」


「ええ、そのまさかで御座いますよ、小娘」


「だって、色が……!」


「ああ、そうでした。今回だけは戻しておきましょうかね」


言いつつ偽王国の騎士は目を伏せる。途端に、偽王国の騎士の髪色がインクが滲んだように根本が黒紫色に染まった。


「……如何(いかが)です。魔力を減らしたお陰で元の色に近付きましたでしょう」


そして魔女を見つめる虹彩は深い緑色——常盤色へと変わっていた。

 ()()()()()()()()()大分紅い色に侵食されているが、紛れもなく、魔女の腕輪にある色だ。


「嫌いっ! きみなんて、大っ嫌いだもんっ!」


魔女は目の前の男に叫ぶ。その刹那、魔女は口元を男の手で覆われ壁に押し付けられた。


「……私を苛立たせる(私の感情を揺さ振る)のが御上手ですねェ、小娘」


男の口元は笑っているが目が笑っていない。瞳孔が開いて目が据わっている。


「お前が、小娘だから手は出さぬ」


低く唸る声だった。


「婚前交渉をせぬ約束はしたが、婚姻済み故に私はお前に手を出そうと思えば何時でも出せる。理解して居るか?」


男が何を言っているのか魔女には理解ができなかった。ただ、彼の言葉は真実らしいと分かる。


「お前が大事だから、手を出さぬ」


言い聞かせるように、ゆっくりと男は告げた。

 怯える魔女に我に返ったのか男は「お願いですから、良い子で居て下さいまし」にこりと笑みを貼り付ける。


(そして)、私を『嫌い』等と言わないで下さいまし。酷い事を致してしまいたくなります」


良いですね、と念を押す男に魔女は口をへの字にして顔を逸らした。


「ふん!」


「良いですか、小娘。今の貴女の命は私の気分次第なのですよ」


「……」

「小娘」


黙り込んだ魔女に男は呼びかける。


「しないでしょ、そんなこと」

「っ!」


 きっ、と覚悟を持って見つめ返すと、一瞬男は瞠目する。


「だってきみ、わたしが生きていることに執着してるもん」


「……生きてさえいれば他はどうでも良い、とも解釈できますが?」


「『手は出さない』って言ってるから、それを信じてる」


「都合の良い頭をしていらっしゃいますね。それが嘘だとは思わないのですか?」


「思わない。()()()そうしないでしょ?」


「……くく、ふはははは! 流石、小娘で御座いますねェ!」


強く信じている旨を言外に含めると「私を信頼するとは!」と男は呵呵大笑した。


「……」


記憶とは大分違う様子ではあるが、()()()()()()()()()()きっと彼はそうする。警戒したままで魔女は男を見つめた。


ちなみにトイレについては下腹部にトイレに行かなくても良くなる札を貼られました。

(トイレに行かなくて良い札は呪猫の上流階級では一般的な札)

その際に可愛い白パンツをがっつり見られましたが無反応だったようです。

(「外したい」と主張したところ「厠はありませぬよ」と言われて諦めた)



×魔女と術師の、魔力由来の性格の話×


実はこの世界観、浄化、侵食、起爆、残留、の4種類の魔力の型があります。(血液型のようなもの)

それぞれで性格の傾向があります。

魔力の性質による性格


浄化

→能天気 忘れっぽい

侵食

→気遣い じめっぽい

起爆

→活動的 感情的

残留

→神経質 堅実的


例えば魔女は

浄化×侵食 だからお花畑+じめっぽい性格


術師は

残留×起爆 だから慎重派+感情的な性格


とか。


魔女が周囲に興味がほとんどないとか、術師が激しい感情を持ってるのは生来からの癖です。


https://x.com/sinojijou/status/1444787317227474945

とか

https://x.com/sinojijou/status/1548981021898870788


に魔力の性質や性格その周辺の設定とか乗ってます。(必読ではない)

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