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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木:基礎

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新たな事件


 修練場から若者達が帰ってきて、それを魔女は出迎える。


 すると、見知らぬ若者が増えていた。どうやら今回は競争相手の子を連れてきたらしい。


「もう1人の方は用事があるからって言って連れてくることができなかったんだけどね」


と黒髪の若者はいう。


「ふーん」


珍しい白髪の、若者だ。そして、白髪の若者は他の若者達と同年代の様子だった。


「とても良く効く薬を作ってくれる人だから、礼を言いたかった」


 白髪の若者は落ち着いた様子で、胸に手を当て礼の姿勢を取る。どうやら、修練場で戦った後などに魔女の作った薬を白髪の若者にも共有していたらしい。


「ありがとう。とても助かっている」


「ううん。わたしも好きで作ってるだけだから」


人の役に立てると感じるのは嬉しいことだ。そう、魔女は深く感じた。


×


 白髪の若者や他の若者達と共に、魔女は街を歩く。すると突然、笛の音が辺りに鳴り響いた。


 『しまった』と白髪の若者は険しい顔をする。


「抜き打ちかっ!」


「『抜き打ち』?」


黒髪の若者達が不思議に思っている間に、白髪の若者の周囲を武装した者達が囲った。魔女と黒髪の若者達は白髪の若者から引き離される。


「ちょっと待って! 彼に一体何をするんだ!」


黒髪の若者が叫ぶが、武装した者達は「『魔人』、確保」とだけ言い、答えない。

 そのまま『魔人』と指定された白髪の若者を強制拉致して行った。


 あっという間だった。拘束から搬送まで、数分もかかっていない。


 周囲のざわめきの中に、噂の声を聞く。


「ああ、可哀想に」

「魔人はこの国には居られないのだから」

総合組合(コレギア)の研究施設に連れて行かれてしまった」

総合組合(コレギア)の長は、やはり『精霊の偽王国』と手を組んでいるんだろう」


 それから魔女達は周囲の人から情報を得た。

 どうやら、この『霊の国』では亜人は差別されないが、魔人は差別されているらしいと。

 そして、魔人は見つかり次第先程のように拉致されて行くのだ。

 それを誰も止めることはない。なぜなら、この国に居られなくなるから。


 前まではそうでなかったけれど、少し前からこうなっており、結構な人数の魔人が連れ去られたという。

 総合組合(コレギア)の長がこの国に拠点を移してからすぐに変わったという。噂によると総合組合(コレギア)の長は魔人を『精霊の偽王国』に売り渡しているらしいとか。


 道理で総合組合(コレギア)の長が修練所に現れた時に空気が張り詰めていたのか、と若者達は悟った。


「あの子はそんな子じゃないよ!」


 魔女は酷く狼狽(うろた)え、そう叫ぶ。


「子?」


「あの子はもっと慎重に行動をする人のはず。こんな、乱暴な手段を取るなんて」


 次男は、もっと慎重な子だった。あんなふうに、人々を怖がらせるような事をする子じゃなかった。仮に魔人を集めるとしても、秘密裏にこっそりと回収するはずなのだ。


「……だからこそ、『ギルド長が偽王国と手を組んでる』なんて話が出来上がったんじゃない?」


と魔術使いの若者が薄青い髪を少し弄りながら答える。


「僕達にも、ギルド長(あの人)があんな事をする人には見えなかったよ」


黒髪の若者何、静かに告げた。若者達も、総合組合(コレギア)の長には何度かお世話になっているらしい。だから、他の人よりは人となりを知っているという。


「偽王国のやつに操られているとか、脅されているとか、ですかね?」


聖職者の若者は考えるように顎に手を遣った。


「そうかも?」


 次男は操られているのだろうか。そうだったら良い。魔女はそう思う。だが、次男が簡単に操られるような人じゃない事も魔女は知っている。だけど、きっと何か理由があるはずだ。


 それから、魔人を拉致して研究する組織が樹木内にあるという話を魔女と若者達は聞いた。

 つまり、拉致された魔人達は樹木の中にいるはずなのだ。


 早速、魔女と若者達は樹木に向かうことにする。


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