基礎と王国6
『醜悪で間違いだらけの世界は破壊された。そしてこれより、最も優れた魔人である我ら“精霊の偽王国”の手で、世界を作り変える』
『我らの求めるものはただ一つ。我らの自由である』
『我らに賛同する者よ、従うが良い。喜んで受け入れてやる』
『世界に絶望した者よ、願うが良い。お前の願いを叶えてやる』
『世界中に散った“精霊の偽王国”の者が、その導となるだろう』
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突如、世界中の通信に関わる端末が、とある集団に乗っ取られた。
お陰で、強制的に世界中の者達がこの通信を聞く羽目になる。
発信の内容は世間を大いに混乱へ貶めるものだ。
『精霊の偽王国』は黒いローブと仮面や布で顔を隠した魔術師の集団だ。そして何名かは旧各国の宮廷魔術師と同様の杖を持っているという噂があった。
真偽はともかく、強力な魔術使い達が集まっているので一般人達は恐怖を抱いただろう。
それから『精霊の偽王国があの天変地異を引き起こしたのだ』と明言したことも、混乱の要因だった。
『あんなに大掛かりな物を生み出すなど、ただの魔術師の集団ではない』『天地を引き裂き、砕き、繋げるなどなんて罰当たりな集団なのだろう』と。
天地への信仰が強い者達には恐れられ、そうでない者達には引き起こした事象の大きさで恐れられる。
その所業から『精霊の偽王国』の魔人達は悪魔、獣と称されるようになった。
事実、偽王国の人は『熱の神』から魔力を受け取っており、魔力や魂が強化されている。ゆえに、通常の魔人よりも体は丈夫でただの魔人よりもやや異形化が目立った。
そして『熱の神』自身は、力を生み出す創造の女神より生まれた存在であると告げており、当人が望めばどんな力でも与えられると言っている。
ともかく。
突如行われた『精霊の偽王国』の発信によって『世界がより変わっていく』と告げられ、再び世界に混乱と不安が広がっていった。




