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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
巨大樹木の探索

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基礎と王国3


 巻き毛の子や友人Bのおかげで機関の設置や構想など色々とまとまり始めた頃。


「ねぇ。その公共機関って、誰がまとめるの?」


 自作の薬草水を飲み、魔女は総司令官と人事中将へ問いかけた。最近は他の将官や尉官達は何かと忙しそうだ。なので会議が終わると早々に居なくなる。

 魔女は身代わりが居て、一応余裕があるらしい総司令官と仕事をサボりがちな人事中将がよく会議室に残った。そこで軽く雑談をしてから、また仕事に戻る。


「どんな組織だって、まとめ役が居ないとごちゃごちゃしちゃうでしょ?」


 それは、魔女にとってただの雑談のつもりで口にした話題だった。


「お、さすがの魔女様も気になるか」


と魔女の同僚である人事中将は彼女を揶揄する。だが、なんとなく真面目な声色だった。


「大変だったんだぜ。色々と」


そうでしょう、と言いた気に人事中将は、総司令官に視線を向けた。


「うん。まあそうだね。適任を選んだつもりだったけれど」


頷き総司令官は魔女を見る。


「たいへん?」


 首を傾げる魔女をそのままに


「丁度良いから紹介をしよう。()()()()()()()()()()


と、入ってくるよう合図をした。


「彼が、今度設立する樹木の伐採や魔獣討伐、武器や薬の流通を担う公共機関のまとめ役だよ」


 総司令官の紹介で会議室内へ入った者は、ピシッと綺麗に礼をする。


「どうも。改めまして、公共機関の長に着任する次第となりました」


 その人物は魔獣殲滅部隊隊長、つまりは魔女の次男だった。


「なんで?!」


 他にも人居たんじゃないの、と言いた気に魔女は次男に視線を向ける。


「魔獣の排除も関わるので」


魔獣討伐や色々の知識があり、沢山いる歩兵の一部のまとめ役としてもそれなりに人の扱いがうまいからと、選出されたそうだ。


「そっか!」


 それなら仕方ないと、魔女は頷いた。


「納得すんの早いな」


そう人事中将は呟く。自身の養子である彼を任命したとなると多少うるさくなるだろうと思っていたらしい。


「わたしだって。そこまで子供じゃないよ。……がんばってね?」


見た目はどこからどう見ても子供なのだが、その指摘は置いておく。


「言われるまでもなく」


深く頷き、


「組合の第二の拠点が利権や色々の関係上、地の国になりましたので、部下と共にそこに引越しします」


と、国から出る事を魔女に伝えた。


「え! 結構遠いよ?」


 確かその国は荒野や海を挟んだ()()()南側の国だったと、魔女は記憶している。


「隊商や回遊派の皆さんに送ってもらえるそうなので、大丈夫です」


 心配は要らないと、魔女に伝えた。


「そっかー」


少し、魔女は寂しくなる。長男や次女は諸事情が合ってすぐに会えないし、長女は数ヶ月前に魔鳥に乗って旅に出たので、気軽に会えるのは三男だけになってしまった。


「……まあ、本当は他のやつに任せようと思っていたんだけどな。候補者は体調を崩したり少し問題が起こったりして、国を渡れなくなったからな」


少し顔をしかめながらも人事中将は答える。


「あと、こいつ自身も意思表明したから選ぶしかないだろ」


本当は気乗りしていないらしい。魔獣に対して強いこと、魔女のお守り役など色々と役に立つのにと零した。


「異国を直接学べる良い機会だ。それに、転移門を設置すればすぐまた会えるよ」


 総司令官は魔女と人事中将を(なだ)める。転移門とは、公的な移動魔術式の拠点のことだ。


「設置の許可は得ているはずだから、そちらも宜しく頼むよ」


「はい。ご命令とあらば」


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