勝利と栄光10
樹木が伐採されてから、国内に現れる魔獣が弱体化した。それは国民だけでなく、国防に関わる軍人や政官に安堵を与える。
しかし。国の外の魔獣は、相変わらず強いままだ。
凶暴化した魔獣に人々が襲われる話は毎日のように聞く。そして、『樹木が生えて世界が変わらなければ』と、樹木に怨みを抱く人が沢山現れた。
だがしばらくして、巨大な樹木の下の方が安全だと知られる。
ただの荒野となった国の外よりも、樹木の枝が伸びるその下。つまり、樹木の庇護下に置かれた土地には、荒野に居る魔獣よりも弱くまだ数名の人間でも倒せるような魔獣しか現れなかった。
だから、樹木の下に集団が形成され始めたのだ。元々樹木の周囲にあった国が、樹木の加護を求めて集まる。安全圏は狭く、前身の国とは比べ物にならないほどに小さかった。
それでも、軍隊等を強化して小さくもしっかりした国を作り上げる。
ただ、巨大樹木の本数の結果、11の国しかできなかった。
また、十字教の『祈り』は魔獣に有効だという話も広まり始める。
魔獣の黒い力を、神聖で純粋な祈りが退けるらしい。ただ、十字教の他にも他国の星辰道、徳教など他の宗教でも魔獣に対抗できるらしいので、十字教が特別というわけでもない。




