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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
変わった世界

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『魔女』と家族。


 連れ帰った子供は、即座に緊急治療室へ運ばれる。

 そして『魔女』は子供の体に現れた怪我を全て、綺麗に治した。

 治療に参加したのは『魔女』と、2人の補佐官だ。


 そのまま、子供は一旦軍部の施設で治療と療養を行う事になった。怪我のお陰で魔力も体力も殆ど無く、目を覚ますには時間が掛かるだろう。


×


 治療が終わると、補佐官2人と共に『魔女』の執務室に案内された。長男はただの地方に所属する()()()()()なので、士官や将校が持つ部屋に入ったのは殆どはじめてだ。


「んー」


 苦しそうな顔で、魔女は(うずくま)る。

 治療はきちんと出来ていたが、魔女の疲労が大きかったのだ。治療の魔術式の使用や縫合、修繕、その他色々。魔女は無意識に()()も使っていた。


「元の姿に戻るまで、母さんは仕事を休んだ方が良いんじゃないか」


 心配そうに、長男は魔女に声を掛ける。

 軍医中将としての『魔女』は此度の天変地異の被害者達を助けた旗印として必要かもしれないが、その魔女が倒れてしまっては元も子もない。


「ひとまず、怪我人や病人の世話は僕達がやります」


と、金髪で人当たりの良い方の補佐官1が告げる。拾った子供の世話もしてくれるといった。


「そうですね。人材や治療道具の手配等も私達でやりますので」


 そう、銀髪と眼鏡の方、つまり補佐官2も答える。


「良かったね母さん。とりあえずゆっくり休もう。そうしたらいつか、元の姿に戻るかもしれない」


「とは言っても、やはり『魔女』の存在は大事なんだよ」


 突然降った声に一瞬だけ、長男は身体を硬らせた。そのままゆっくり立ち上がり、敬礼の姿勢を取る。

 補佐官2人も敬礼をした。


「あ。そーしれーかん」


 見上げ、魔女はぱちくりと瞬きをする。

 『魔女』の執務室へ入ってきたのは総司令官だった。


「俺も居るけどなぁ」


その後ろから、人事中将と殲滅部隊隊長も姿を現す。


「……『魔女』の存在は大事、とはどういう事でしょうか」


 発言を許可されたので、長男は疑問を口にした。


「つまり、復興の旗印は名前だけでなく、姿()()()()()()()って事だ」


総司令官の代わりに、人事中将が答える。


「身勝手な事は承知の上で、頼みたい事がある」


 そして、総司令官は魔女の長男へ向き合った。


「君に、『魔女』の影武者になってほしい」


 縮んでしまった魔女の代わりに、軍医中将としての『魔女』を、魔女の長男に演じてもらうのだ。


「……謹んで、お受け致します」


×


「……って言ったけど、いや無理だろ」


 屋敷の玄関で、長男は言葉を零した。


「『謹んで、お受け致します』って言ったの嘘だったのか」


(とが)めるように、()()()()揶揄(からか)うように、次男が声を掛ける。


「……兄貴達。ここ土足厳禁なんだけど」


 玄関から屋敷に入ろうとして、三男に注意された。


「おくつ、だめー」


言いながら、魔女はごーちゃんに用意された内履きに小さな足を突っ込んでいるところだった。


「あー、そうだった」

「……まだ、靴を脱いでなかっただけだよ」


 忘れてたと長男は零し、次男は少し肩を(すく)める。


「……すまんが俺に代わりができるとは思えない」


 居間に移動し、屋敷の冷蔵庫から出したおやつ食べつつ長男は言う。


「姿が似てるから、ギリいける」


その様子をじっと見ながら、次男は言葉を返した。


「いや、あのすっとぼけ顔難しいって」


 少しして、冷蔵庫を漁っていた三男が2人に問い掛ける。


「……なぁ、俺のおやつ食ったの兄さん?」

「さぁ?」

「その顔」


首を傾げる長男に、冷静に次男は指摘した。


「髪色はまあ誤魔化せるとして、瞳はどうするんだよ」


 お茶を飲み、長男は呟く。長男の柑子色の髪は魔女の蜜柑色よりは薄い。だが、経年劣化とも言える程度の差であり、また加工のしようはある。

 だが()の色はどうするのか。


「そんなあなたに! この道具を授けます」


 と、三男はパッと小さな箱を取り出した。


「色変えができる視力補正器具(コンタクトレンズ)

「いつのまに作ってたんだ!?」


受け取り見てみると魔女のような明るい赤色のそれが一対、用意されている。


「そういうこともあろうかと事前に用意してたんだ」「どういう事態だよ」


 涼しい顔の次男に、長男は肩を落とした。


「ちなみに材料さえあればうちですぐ作れる」

「なんでそんなに準備がいいんだ」


「あと、縮んだ母さんの事だけど」


 次男は三男に視線を向ける。


「……もしかして」


「察しが良くて助かる。面倒見てあげて」


にこ、と次男は微笑んだ。


「まーそうなるだろうとは思ってたよ」


そう、三男も肩を落とし項垂れる。

 それから突如、


「たっだいまーっ!」


 と、居間の扉が勢いよく開けられる。


「おねーちゃんが帰ってきたよー」


そう、次女が高らかに宣言した。呪猫の服を着ているので、急いで帰ってきたらしい。


「あとお姉ちゃんもね」


 と背中に乗っていたものを兄弟達に見せる。


「ん」


その背に負ぶわれたまま、長女が軽く手を挙げた。



ちなみに冷蔵庫のおやつは長男が好きそうなのを見つけやすいところに移動した腹黒次男


コンタクトは次男の嫁が「眼鏡って戦闘中に割られたり落っこちたりしないか心配になる時があるんです……(しょんぼり)」って言ってたから(既にコンタクト自体はあったけど目に違和感で不評)眼球に違和感なく付けれるやつ作ってみよっかって次男と三男が試しに共同で作ったらいい感じのが出来たのでどうせなら変装用にいろんな色の作ろうぜって沢山作ったやつの一つだそうです。

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