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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
二人の生活

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321/600

準備の終わる話。


 ある時、()()()()()()()()の元へ、助言役の宮廷魔術師の男が生贄を連れてきた。

 それは燻んだ金の髪に生気のない目をした、陶器人形のように美しく線の細い男だ。少年だとか女性だとか言われても納得出来そうな容姿である。

 目立たないようにか、自分達と同様の黒い衣装を着せられていた。


「……『生贄』という事は。()()()()()()()()()()()()()?」


 注意深く問う。すると助言者は何が面白いのか、ゆっくりと赤黒い虹彩の目を細め


「ええ、間違い無く。此れこそは、貴方様の求めた『奇跡を剥がす』行為を更に成功へと導く力の持ち主で御座いますとも」


と連れた人間を示した。

 芝居の掛かったような言い回しが少し鼻に付き、それにやや顔をしかめる。


「この者の命を奪うのか?」


助言者に視線を向けると


「いいえ。魂の力は使いますが、命は奪いませぬ」


そう、ゆったりと首を振り、助言者は答える。


「そうか」


 少し、安堵した。


「……」


その様子を助言者は目を細め見つめていた。


「((ぬる)い。此れから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()())」


だが、気にする者は居ない。


 助言者は「一部を使うだけ」「命は奪わない」のだと語ったが、『魂の力』つまりは()()()()()()()()()()()使()()のだ。()()()()()()()()()()

 ……それを見て、この主はどう思うだろうか。『やっぱりやめた』等と言われて終えばそれこそ()()()である。


「((しか)し、()()()()()()()()()()()())」


 とにかく、儀式を始めたならば終わるまで止めては行けない。でないと、かえって悪化するからだ。


 何を犠牲にして何が行われるのか。それを()()()()()()()()()()上での儀式。助言者は聞かれた事に真摯に答えただけ。聞かれていない事には答えていないだけ。

 儀式の後に主に詰め寄られても、助言者はそう答える。自身にとって不利になりかねない事は口にしないそれが、魔術師といういうものだからだ。


 それはともかく、既に()()()()()()()()の魔術師の集団達はそれなりに数が集まり始めていた。必要な人材や材料は集まっており、行動を起こすのもそろそろだろう。


「……儀式はいつにする」


 問われ、


「占いに()ると、此の日が良いでしょう。星見や他の魔術師に問うても宜しいですが」


助言者は告げる。


「いや、いい。その日にしよう。遅れても面倒だ」


 そう答えるだろうと、助言者は予想済みだった。


 これで、全ての手筈は整った。


×


 それから数日後に、儀式は行われる。

 何の邪魔だても滞りも無く、淡々と、粛々と。


 だがその場には助言者は居ない。別の場所で、準備をする必要があったからだ。


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