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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
二人の生活

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総司令官という人2。


 実際、総司令官の話を一通り聞いた所で、軍医中将である魔女と人事中将(もとい)魔女の同僚の男が口出しや介入をどうこうできるものではない。


「——まあ、愚痴のようなものだよ」


 それから一通り軽く話した後、総司令官は言った。


此方(こちら)の個人の話を聞かされても、君達は困ったかもしれないね」


 解決を求めたいのは確かだが、2人へ相談したところで決して変わりやしないのだと、分かっている。


「他の者よりも親しい君達だから、話したんだ」


 魔女の同僚の男が何かしら口を開こうとした時、それを遮るようにして総司令官は2人の顔へ視線を向けた。


「……そうですか」


 言葉を言う前に遮られた魔女の同僚の男は少し視線を動かして思考し、それから小さく息を吐く。


「こちらは契約上、()()()()()()()()()()()()


とだけ、返しておいた。

 魔女の同僚の男は、軍部の人事を(つかさど)る立場にいる以上は総司令官の命令は一定の範囲内で聞ける。だが、通鳥当主の伴侶として或いは、外国の元王族としては何の役にも立たない事だけ、伝えたのだ。


「んー、わたしはそもそも貴族のお話に介入できるような身分でもないし、わたしに何か期待しても困るからね」


 魔女の得意分野は薬草の採取や成分の分析、薬の開発や薬の生成である。だから、政治的な話は(ほとんど)ど興味もないし、介入する気もない。


「うん。一先ず口にして気が(まぎ)れたよ」


 と総司令官は柔らかく微笑む。

 口にしても解決しない事は無論、世の中には沢山有るが口に出すだけで楽になる物事はあるのだ。


「それともう一つ、君達に頼みたい事がある。……これは、信用できる君達にしかできない事だ」


 少し声を落として総司令官は話す。


「……もうじき、二番目の兄が()()()()()()()()()


 そう切り出した時、魔女の同僚の男は一瞬だけ周囲へ気を配った。無論、盗聴や色々を防ぐ結界は機能しているようだ。だから、よほど術の隠蔽が上手い手練(てだ)れた者でないと知られる事は無い。


「恐らく。その代行は、此方が引き受ける事となるだろう」


双子である()ぐ上の兄の方は()()()()()()()()()()()()()()からね、と言葉を続ける。


「だからきっと、軍部の指揮が今まで通りにならない事もあるだろう」


 少し目を伏せ、総司令官は憂いた表情をした。


「だから有事の際に、君達には君達自身の権限で人事の者達、或いは軍医や衛生兵、支援部隊を動かせる権限と、それに関連する設備の使用を許可できる権限を渡しておこうと思ってね」


と、2人に特殊な契約用紙を手渡す。


「仮に、それを良しとしない兄の手の者が紛れていて、邪魔をされてもきちんと使えるように」


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